呼吸器外科h2-icon-chest_surgery

診療科概要

概要・特色

ようこそ、上越総合病院 呼吸器外科へ。
当科では上越地域の新たな治療拠点として、最新の医療技術を、最新の医療設備で提供いたします。
『より良い明日のために』をモットーに、1日でも早い日常生活への復帰を目指して、内視鏡(胸腔鏡や超音波気管支鏡)を用いた従来よりも体の負担が軽い手術(=低侵襲手術)を心がけています。

治療対象の主な病気

胸部疾患
  • 肺癌/肺腫瘍
  • 気胸
  • 膿胸
  • 縦隔腫瘍
  • 縦隔リンパ節腫大
  • 気道狭窄症
  • 胸部外傷
頚部・甲状腺疾患
  • 甲状腺腫瘍

その他、胸腔鏡を応用した心臓外科領域や食道領域の疾患もサポートいたします。

当科が得意とする医療技術

  • 完全胸腔鏡下肺葉切除術/肺区域切除術および所属リンパ節郭清
  • 完全胸腔鏡下胸腺摘出術/縦隔腫瘍摘出術
  • 完全胸腔鏡下単孔式手術
  • 超音波気管支鏡下生検(EBUS-TBNA)
  • 気管支充填術
  • 硬性鏡下 Dumon ステント留置術

徹底して低侵襲な完全胸腔鏡下手術を行っています。

受付時間

呼吸器外科

9:00 〜 11:00尾嶋紀洋尾嶋紀洋
(予約のみ)
尾嶋紀洋尾嶋紀洋
休診10月30日(月)尾嶋
休診11月10日(金)尾嶋

担当医師

  • 尾嶋 紀洋医長

    専門領域
    • 呼吸器外科一般
    プロフィール
    • 平成19年 富山大学医学部卒
    資格・専門
    • 日本外科学会専門医
    • 第1回上越総合病院臨床研修指導医講習会受講
    • 気管支鏡専門医

呼吸器疾患と治療法について

低侵襲手術とは

自分が患者となったとき、どのような手術を受けたいか?を考え、できるだけ体にやさしい手術を心がけています(低侵襲手術といいます)。病気を治すという当たり前の目的に加え、手術による体への負担を最小限とし一日も早い日常生活への復帰を目指します。

体にやさしい手術=低侵襲手術の利点は?
  • 回復が早く、早期に社会復帰できる
  • 体力の衰えた高齢者や、傷を気にする若年女性でも手術を受けられる
  • 術後の追加治療が必要な場合に、適切な時期に、良好な状態で受けられる
  • 痛みが最小限
  • 傷が最小限

病気がきちんと治るのではあれば、低侵襲が良い!

当科では「体にやさしい手術」を心がけています。

痛みゼロ宣言

手術を受ける場合に最も心配なことの一つは「痛み」だと思います。傷が小さくても、痛くては意味がありません。
当科では、術後の「痛みゼロ」を目指して、徹底的な疼痛管理を行っています。特に胸部外科手術後によく認めるピリピリした「神経障害性疼痛」の予防法を、当科が考案いたしました。
皆様が安心して手術を受けられるように、丁寧な説明や治療法の選択を心がけ、治療後のケアもお約束いたします。

気管・気管支・肺の構造

呼吸は気管・気管支と肺によって行われています。吸った空気は、気管・気管支を通って肺に到達します。肺に到達するまで空気の通り道は徐々に細くなり、場所によって 気管 → 主気管支 → 葉気管支 → 区域気管支 → …と名前が変わります。肺に到達した空気は、循環され再び元の道を通って吐き出されます。

気管支だけではなく、肺も場所によって名前がつけられています。右・左の他に、右肺は上・中・下、左肺は上・下の「肺葉」と呼ばれる構造に分かれます。それぞれの肺葉は更に「肺区域」と呼ばれる単位に分かれます。

気管・気管支と肺の関係は、例えるならば、国・県・市・町・村と道路の関係です。片方の肺が国とすれば、肺葉は県、肺区域は市という単位です。それぞれをつなぐ空気の通り道は、国道、県道、市道のように、道路の管轄(行く先)と太さによって名称が異なるのです。

リンパ節の構造と転移・リンパ節郭清

全身には血液の他に、免疫細胞を含むリンパ液が流れています。リンパ液の通り道は血管とは異なり「リンパ管」と呼ばれます。「リンパ節」はリンパ管の所々にある防波堤のような役割があります。
癌が発生すると、正常な免疫細胞は癌細胞の増殖や進行を抑えようと戦います。もし癌細胞が増えて進行していくと、防波堤であるリンパ節が癌細胞に乗っ取られしまいます(リンパ節転移)。

癌の外科治療では、原因の癌を取り除くだけではなく、周りのリンパ節も一緒に取り除くのが一般的です(「リンパ節郭清(かくせい)」といいます)。
「リンパ節郭清」は、親分(原因箇所)への治療ではなく、近くに子分がいるかどうか(転移の情報)と、子分がいた場合に取り除く(治療)の2つの意味を持ちます。
リンパ節転移がある場合(子分がいた場合)には、他にも子分が隠れている可能性を考え、追加治療を行うことになります。
リンパ節郭清は、手術後の治療方針を決める大きな要素の一つです。

リンパ節郭清(かくせい)とは?

リンパ液は流れる方向が決まっています。
肺癌がどこに発生したかで転移しやすいリンパ節が決まっているのです(=所属リンパ節)。

肺癌の外科治療では、肺の切除と一緒に周囲のリンパ節を同時に取り除く(=リンパ節郭清(かくせい))ことが一般的です。

【リンパ節郭清の必要性】
(1) リンパ節に転移があるか否か正確な情報が得られる。
転移していた場合には、
(2) 切除したこと自体に治療効果がある。
(3) 手術後に適切な治療を行える。
の3点で有効です。

肺癌/肺腫瘍の手術

肺癌の一般的な外科手術は「肺葉切除術および所属リンパ節郭清」です。
最近では小型の早期肺癌であれば、より小さな範囲の肺を切除する「肺区域切除術」が行われています。肺区域切除術でも肺葉切除術と同じ程度の治療成績が報告されています。

肺は切除する範囲が大きいほど体への負担が大きくなり、手術後の合併症を起こしやすく、肺機能も低下します。当科でも肺癌の進行度に合わせて「肺区域切除術」を行います。肺区域切除術は肺葉切除術よりも切除範囲が小さいため、より体にやさしい「低侵襲手術」と言うことが出来ます。

手術方法

大きく3つに分けることが出来ます。

  1. 開胸手術(大きな傷で行う)
  2. 胸腔鏡補助下手術(胸腔鏡(きょうくうきょう)と呼ばれるカメラとある程度大きな傷(開胸も行う)との両方)
  3. 完全胸腔鏡下手術(カメラと細い道具が使えるだけの小さな傷で行う)

当科では開胸を併用せずに「完全胸腔鏡下」に「肺葉切除術および所属リンパ節郭清」を行います。また、肺葉切除術だけではなく「区域切除術および所属リンパ節郭清」も「完全胸腔鏡下」に行います。

なぜ「みぞおち」に傷がつくのか?

当科では切除した肺葉もしくは肺区域を、いわゆる「みぞおち」(心窩部)から取り出します。1cmの傷では肺葉や肺区域を取り出せないからです。肺を取り出すために、傷を大きくする(=開胸する)のであれば、はじめから傷を大きくして手術を行った方が早く手術は終わります。しかし傷を大きくすることは、傷が小さい場合と比べて、(1) 回復のスピードが劣り、(2) 手術後の痛み(特に肋間神経痛)が長引きやすくなります。「みぞおち」には骨や神経がないため、小さな傷でも大きな肺を体にやさしく取り出すことが出来るのです。
完全胸腔鏡下手術は、開胸を併用した手術に比較して、術後の回復が早く、80歳以上の方でも早期退院が可能で、日常生活への復帰がスムーズであることから、当科で積極的に行っています。

(注1)お腹を開ける手術(開腹手術)ではありません。開腹手術を行ったことのある患者さんでも、この方法で肺を取り出せます。
(注2)局所浸潤型の進行肺癌では、完全胸腔鏡下手術が困難な場合があります。

縦隔腫瘍の手術

左右の肺と胸の骨に囲まれた部分を「縦隔(じゅうかく)」と言い、縦隔にも腫瘍が出来ることがあります。
当科では縦隔腫瘍に対しても積極的に「完全胸腔鏡下」手術を行っています。

若い女性にもしばしば発症する重症筋無力症や、胸骨正中切開下手術がためらわれる小さな胸腺腫に対して大きなメリットがあります。特に重症筋無力症では、術後にステロイドや免疫抑制剤の投薬が必要となりますが、骨を切断する必要がないため合併症が少なく、手術後も安全に投薬が可能です。

(注)局所浸潤型の縦隔腫瘍では、完全胸腔鏡下手術は困難な場合があります。

完全胸腔鏡下単孔式手術

完全胸腔鏡下手術は、3〜4ヶ所の傷で行う方法が一般的です。当科では、傷が極力少なくなるように、「単孔式」と呼ばれる1ヶ所の傷で行う手術も行っています。

【主な対象疾患】

  • 急性膿胸
  • 胸膜生検
  • その他

縦隔リンパ節や中縦隔腫瘍の生検

(1) 縦隔にあるリンパ節がなぜ腫れているのか分からない場合、(2) 縦隔リンパ節に転移しているかどうか分からない場合、(3) 縦隔に腫瘍が見つかったが診断がつけられない場合に、細胞を採取して(=生検)原因をはっきりさせる(=診断)ことが治療方針を決めるうえで非常に重要です。
縦隔リンパ節を生検する場合「縦隔鏡」とよばれる内視鏡を使って、全身麻酔と首に傷をつけた方法で行うことが一般的です。

当科では「超音波気管支鏡」を用いて生検を行います(EBUS-TBNAと言います)。超音波装置のついた内視鏡を使って、気管や気管支の内側から組織を採取する方法で、通常の気管支鏡検査と大きな差はありません。
従来の「縦隔鏡」を用いた生検方法と比べて、全身麻酔も体に傷をつける必要もなく、体にやさしい検査です。局所麻酔で行う方法ですが、検査中は眠った状態ですので心配はありません。

気胸の治療

若い患者さんの自然気胸

「完全胸腔鏡下」手術を行います。5mm〜1cmの傷、3カ所で行います。

超高齢者や全身状態が不良な難治性気胸

当科では「手術」の他に、「気管支充填術(きかんしじゅうてんじゅつ)」というカメラの治療も行うことが出来ます。

一般的な気胸の手術は、原因となっている「肺の表面」を治す治療ですが、「気管支充填術」は原因の肺に通じる気管支を塞ぐ治療です。水道に例えるならば、「手術」が「蛇口」を止める治療、「気管支充填術」が「元栓」を止める治療です。

かなり高齢である場合や、併存疾患が多く全身状態が不良な場合、肺がボロボロな場合(重度の肺気腫)、全身麻酔による手術が危険で、手術を行ってもすっきりと治らないことがあります。また、一旦治っても再発し致命的となることがあります。

「気管支充填術」は、体にメスを入れずにカメラ(気管支鏡)を使って、シリコンで出来た特殊な材料を原因の気管支に詰める方法です。局所麻酔で行うため、全身麻酔での手術が難しい場合に有効です。当科では気管支充填術と一緒に、より治療効果を高める胸膜癒着療法を併用しています。両者の併用は、再発を減らす効果もあります。

難治性気胸の他にも、有瘻性膿胸、巨大肺嚢胞などでも治療効果が期待される治療法です。シリコンの材料は病気が治った後に摘出できます。

気管支充填術

局所麻酔で、体に傷がつきません。全身麻酔での手術がハイリスクな患者さまが対象です。

【対象疾患】

  • ・難治性気胸
  • ・有瘻性膿胸
  • ・巨大肺嚢胞
新しい低侵襲ドレナージ

気胸の治療では、体内に貯まった空気を体外へ出す「ドレナージ」と呼ばれる初期治療が必須です。従来ではトロッカーと呼ばれる太い管を胸に入れて、入院治療を行っていました。当科では従来法を改め、より低侵襲な新規治療法により、治療期間の短縮と医療経済の低コスト化を実現しています。

気道狭窄症の治療

さまざまな原因で空気の通り道である気管や気管支が狭くなることがあります。気管や気管支が狭くなると、息が苦しくなり、出来るだけ早い治療が望まれます。

当科では狭くなった場所を特殊な筒(ステントといいます)で広げる治療を行っています。ステントには「金属製」と「シリコン製」があり、それぞれ長所と短所があります。 狭くなっている場所と全身状態に合わせて「金属ステント」と「シリコンステント」の両者を適宜使用し、より良い呼吸状態を目指します。
特に広範囲に治療することが難しい気管分岐部と呼ばれる箇所には、「硬性鏡」とよばれる特殊なカメラを使ってシリコン製のステント(デュモンステント)を使用します。

(注)狭くなる原因によって、外科的な手術がステント治療よりも適切な場合があります。

胸部外傷

当科の医師は救急救命センターで救急医療に関した専門的なトレーニングを受けています。迅速、適切かつ系統的な診療を行います。

甲状腺疾患について

甲状腺腫瘍についても診療を行っています

近年人間ドックや検診の普及により、甲状腺腫瘍を指摘される機会が増えています。日常的に行われる胸部CT検査は、甲状腺も同時に撮影されるため、甲状腺異常を発見することも少なくありません。甲状腺腫瘍の多くは良性腫瘍ですが、中には悪性腫瘍も含まれるため、確実に診断する必要があります。甲状腺腫瘍が良性であるか否かは、最終的に病理診断を行わなくてはなりません。

当科では、甲状腺腫瘍が発見・疑われた場合に、診断から治療(手術を含む)まで、責任を持ってお引き受けいたします。どうぞお気軽にご相談ください。