第47回 雨に咲く花h2-icon-diary

新専門医制度に対応するためのプログラム申請や、来月当地で開催する指導医講習会の準備であわただしい思いをしているうちに、季節はいつの間にか梅雨を迎えました。一年生も研修開始後ほぼ三か月が過ぎようとしています。白衣が似合ってきました。二年生は将来の進路を考えながら、選択期間を利用してさまざまな施設に研修の場を広げています。今週は、今年度初めての教育回診が糸魚川総合病院で行われました(こじょんのびのブロクにアップされることでしょう)。みな大過なく研修を進めているようで、何よりです。

今年は今のところ空梅雨の兆しですが、梅雨といえばあじさいですね。今回は閑話休題、ネットであじさいの薀蓄を探してみましょう。

漢字では紫陽花と書きます。でも、これはもともと唐の詩人白虚易がライラックにつけた名であったものを、平安時代の源順という学者が誤って使って広まったものだとか。専門家の言うことは必ずしもあてにならずと言うべきでしょうか。耳学問よりも自分で確かめたり、体験することがよほど大切だということかもしれません。本当の語源は、といえば、「藍色が集まったもの」「集まって咲くもの」といった説が有力なようです。たしかに一つ一つは小さな花と萼(がく)が集まって、たおやかに咲く姿を見ると、いずれも納得できるような気がします。

あじさいの花は成長とともに色を変えるのが特徴で、最初は花に含まれる葉緑素の薄い緑色、次にアントシアニンという色素にアルミニウムが加わって青く変わります。あじさいの色として一番ポピュラーなのは、この時期かもしれません。さらに日が経つと、有機酸が蓄積して赤く変わってゆくのだそうです。中にはアントシアニンを持っていない種もあり、これは白い花をつけます。

そんなあじさいの花言葉。色を変えてゆくことで、「移り気」というものもありますが、最近は語源のところで述べたようなその花の形から、「家族団欒」という言葉がよく使われるそうな。これにあやかって、結婚式のブーケや母の日の送りものにしばしば選ばれます。今は小粒でも、力を合わせて研修に励んでいるみなさんの姿に重なります。

青い紫陽花の花言葉は、「辛抱強い愛情」。一方で「高慢」「冷淡」などというものもあります。これらはみな、さまざまな場面の指導医の姿を連想させるかもしれませんね。みなさんは辛抱強い愛情だけをお手本にしてほしいものです。加えて、研修医が一人前の医師として青い色をまとうまでには、指導医の忍耐あふれるサポートがあることを心にとどめておいてほしいと思います。

ピンクに変わると、「元気な女性」。楽しいことも苦しいことも、いつでも物事を前向きにとらえて成長しようとする、若い快活さをイメージさせる言葉です。みなさんにはいくつになってもそんな姿でいてほしい。そう願っている患者さんや病院スタッフも多いことでしょう。

最後に、白いあじさい。その花言葉は「寛容」です。昨今世界中で人々が自分の所属する集団に引きこもり、集団に属さない人たちに対して容赦ないバッシングを浴びせるようになっています。本来人は多様であり、さまざまな可能性を持っています。〇か×かの二者択一で割り切ることなどできないのが、人間世界のありようであるはずなのですが。

そんな時代だからこそ、困った人の手助けをする医師という仕事を選んだみなさんには、この「寛容」の気持ちを忘れないでほしいと思います。医学的に同じ病名がついている患者さんたちでも、一人ひとりの病の物語はさまざまでしょう。穏やかな微笑みとともにそれに耳を傾け、寄り添うことができるような、そんな医療者が一人でも増えてほしい。

梅雨空を眺めながら、そんなことを考えた午後でした。

 
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