新年の当直h2-icon-diary

あけましておめでとうございます。読者諸氏には、よき新年をお迎えのことでしょう。 

小生はといえば、最悪の年末年始であった。大晦日から三ケ日まで緊急カテが4件、緊急手術の必要な患者を他施設へ搬送したのが1件。おまけに元旦は当直。やせ我慢して部下たちを郷里に帰していたものだから、ほとんど病院に缶詰であった。

わずかな時間を縫って初詣に出かけた。二礼二拍手、柏手を打って一年の無事を祈り、一礼する。これだけの行為にすぎないのに、別の自分に生まれ変わったような気がする。除夜の鐘が鳴る前から続けて同じ空気を吸っているのに、日付が変わると全てが新しい。元旦の不思議である。

さて、一年の計はその元旦にあり。みなさんはどんな目標を立てたでしょうか。年の瀬には清水寺の住職が去りゆく年の一字を揮毫するが、じょんのび家では元旦に新年の心構えを込めた一字を選ぶことにしている。筆ペンですけれど(笑)。

小生の今年の漢字は「開」である。患者さんの言葉、コメディカルの意見、同僚の愚痴、そして研修医の希望や不安。それらをきちんと聞いてきただろうか。彼らの気持ちを理解しようと一所懸命でいただろうか。新しいこと、頑張れば実現すること。それらと向き合わず、言い訳ばかりしてはいなかったか。

振り返るに、自分のこだわりに引きこもって、成長のきっかけを掴もうとせず、周囲の人たちにネガティブな影響を与えてきた自分がいるように思う。もっと自分の心の窓を開きたい。様々な意見を受け入れて、自分も周囲も豊かでありたい。それが「開」である。

さて、元旦の当直の話である。新年早々、R子が一緒にやりたいと言い出した。
「ちゃんと親御さんに元気な顔を見せてきたのか。」
「大丈夫でーす。餅つきも手伝いました。」

一安心である。

トリアージナースに呼ばれてERに行くと、起座呼吸の患者がいる。高流量酸素を流してもサチュレーションが上がらない。SOSである。ICUに運んでBIPAPをつける。エコーで左室の壁運動が広範に低下している。ACSであろう。緊急カテである。

循環器の若手も親元に帰したので、小生がカテに入る。ICUのスタッフに応急処置を指示して、ERに待っている(救急車が4台立て続けにやってきた!)患者の方針をR子に伝える。
「困ったらカテ室に走れ。わかったか。」
「はい、大丈夫です。」

カテ室とERの距離が近いこと、R子が二年目で、それなりの経験を積んでいるからこその芸当である。果して左主幹部の高度狭窄であった。IABPを動かす。R子がやってくる。
「腹痛の患者さん、ソセゴン使っても痛みが悪化してます。腹満も強くなっているし、外来主治医に連絡して入院後の治療をお願いしようと思いますが。」
「CTはどうなんだ?(カテ室の端末でCT所見を確認する。)よし、そうしよう。○○先生に電話。俺の指示で連絡しましたと言えよ。」
「わかりました。」

R子はERに戻る。小生はLMTにステントを入れる。危機一発であった。

一時間ほどでERに戻る。腹痛の患者はすでに病棟に移されていた。指示した検査の結果が出揃っている。R子と結果を確認しながら、入院する患者の指示を出し、帰宅する患者には本人と家族に説明をする。

あっという間に夜が更ける。R子が言う。
「いろんな患者さんのことがごちゃごちゃになって、泣きそうでした。」

さもあろう。だが、やるべきことはちゃんとできた。よくやったぞ。
血管を開き、心を開き、R子の将来がまた開けた一夜であった。今年もがんばろー。

 
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