国試の思い出h2-icon-diary

二月も末だというのに、この週末は今世紀最大級の寒波だという。上越も昨日から吹雪である。わが研修医たちは仲間の結婚式で大挙して南国へ出かけたが、戻ってきたら震えあがるにちがいない。かく言う小生、昨日の朝から日直やら回診やらで、病院にクギ付けである。

さて、試験の話の後篇は、国家試験である。今年の試験はもう終わったが(このコラムが間に合わなくてすみません)、なかなか難しかったとか。数ある試験の中の最難関は司法試験だと聞くが、医師国家試験もたやすいものではあるまい。おまけに司法試験よりは合格率が高いし、合格しないと医学部を出ても役にたたないし、プレッシャーがかかるものであることは間違いない。

小生は関東の大学を卒業したので、都内の某大学に用意された会場で国試を受けた。同級生全員で同じホテルに泊った(一年下の後輩たちが国試対策委員とかで手配をしてくれた)。部屋に入ると前日情報とかの怪文書(笑)が回ってきたが、じたばたしてもしょうがないし、部屋でビールを飲んで早々に寝たのを覚えている。試験はさほど難しいとは思わなかった。大学の卒業試験(国試と同じ形式の「総合試験」という関門が三回もあった!)の方が難しかった。当時の国試の方が今よりやさしかったのかもしれないし、卒試で痛めつけられるうちに(笑)、耐性ができていたのかもしれない。

試験が終わってから全員で新宿の飲み屋に繰り出した。当時は予備校の情報などはなく、主席で卒業した某君の回答を模範解答に、合否の見当をつけた。安堵と解放感で、皆心行くまで飲んで騒いだ。

今でもよく夢に見るのは、国家試験のことよりも、卒業してから国試までの間のことである。当時の国試は今よりも時期が遅く、卒業からしばらく間があった。学校に行く用事もないので、朝から国師の準備しかすることがない。思い切って遊びに行く度胸もない。これは辛かった。

医師国家試験の難しさは、頭に入れないといけない情報量の多さであろう。小生は丸暗記が苦手であり、英単語を覚えたりするのにも苦労が絶えなかった。だから国試の勉強も、暗記に頼ることはしなかった。真っ白いルーズリーフに、自由なレイアウトで、自分の好きなように、教科書の内容を整理したノートを作った。たくさんイラストも描いた(小生、実は鼻歌とイラストが好きなのである)。白いノートが自分の文字や絵で綺麗に埋まってゆくのが楽しくて、これが励みになった。それから、何があっても夜11時には勉強をやめて、一杯やりながら好きな本を読むことにした。嫌いな科目を学習しているときは、これだけを楽しみに乗り切ったものである(笑)。

勉強の仕方は人それぞれであろう。今になって振り返れば、苦労しながら自分なりのノートを作る過程で、病態を考える習慣が身についたように思う。病態が理解できれば、おのずから症状や検査所見、治療内容もわかるというものである。面倒がらずにコツコツやっていれば、原理原則めいたことが見えてくるのである。

今の教科書は随分ビジュアルになった。しかし、医者に求められるものは変わらない。どんなに情報量が増えても、それに対応できるような基本的なものの考え方ができなければならない。そういう意味では、丸暗記はお勧めできない。学問に王道はないのである。

 
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