鉄は熱いうちにh2-icon-diary

上越の桜は満開。開花後も雨模様の日が続き、寒々とした風情であったが、ここ数日の青空で、今や春爛漫である。

さて、ルーキーたちのことである。新年度を迎え、当院には新たに六人の研修医一年生がやってきた。紺のユニフォームに白衣姿も初々しく、立ち居振る舞いに希望があふれ出している。こちらまで嬉しくなってくる。残念なのは、男ばかりだということである(笑)。

鉄は熱いうちに打てというが、感受性豊かで熱意溢れるこの時期に、医師としての基本姿勢を教えなければならない。厚労省のホームページを見ると、初期研修の二年間に身に付けるべき行動目標として、次のようなことが挙げられている。

  • よい患者と医師の関係を築けること
  • チーム医療を実践できること
  • 問題解決能力を持つこと
  • 安全管理に留意した診療をすること
  • 症例呈示ができること
  • 医療の社会性に配慮できること

いずれも二年間を通じての課題であるし、医療現場の実際を知らないルーキーたちに、すぐにこれらが身に付くはずはない。しかし、なぜこれらを身につけることが大切なのかを、十分にわかってもらわなければならない。

これらはいずれも、将来専攻するキャリアにかかわらず、医療者として診療をしてゆくうえでの大前提である。医師として守らなければならない法律のようなものであろう。本来なら、わざわざ繰り返す必要などないことかもしれない。

しかしながら、おそらく今日の卒前医学教育では、この点に関する教育はきわめて不十分であるに違いない。なんとなれば、自分を含めて、指導医たちの中にこれらが身についている先輩がどれだけいることか。世間知らず。気難しい。協力してくれない。よく耳にする医者のありようについての批判が、何よりも現実を物語っている。

そのようなわけで、臨床研修は、まずこれらの話から始めなければならない。どこも似たり寄ったりだろうが、当院では最初の一週間を「フレッシュマンセミナー」と銘打って、これらを教える期間に充てている。安全管理部門、事務部門、看護部門などの責任者が指導を担当する。研修医は病院全体の宝であるから、病院を挙げて彼らを育てるのである。

プログラム責任者である小生には、研修の心構えについて話す役目が回ってきた。前述の到達目標をひとつひとつ、声に出して読みながら確認する。君たちはこれから先生と呼ばれる。そう呼ばれるにふさわしい自分自身でいるために、「先生ほどのバカはなし。」と揶揄されないために、これからも繰り返して声に出してみることだ。

そして、あるべき医師像の古典を音読してもらう。「ヒポクラテスの誓い」である。紀元前の昔から、洋の東西を問わず、医師に求められるものが本質的には変わっていないことに気がつく。

変わらないもの、変えてはならないものは、おそらく大切なことである。そして忘れてはならないことでもあるだろう。六人の健やかな成長を祈る春である。

 
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