闘魂外来h2-icon-diary

猛暑の七月、台風と豪雨の八月。おかしな夏の天気も恒例になりつつある気がします。小生のような年輩にとっては、気候の変化は正直言ってこたえます。そんなわけで前回のコラムからまたまた時間が空いてしまいました。申しわけありません。

さて、このひと月半ほどの間に、我らがこじょんのびたちにも一大イベントがありました。「闘魂外来」です。

ご存じかもしれませんが、闘魂外来はドクターGで有名な徳田安春先生のご発案によるもので、医学生、研修医、指導医がチームを組んで、ERを受診する患者さんを診察する実践的医学教育の場です。今回は臨床研修上越糸魚川コンソーシアムの主催で当院を会場に開催されました。全国から多くの医学生が集まり、上越糸魚川地域の研修医とともに、初めて出会う患者さんの診療をしました。

指導医側として、徳田先生以下、闘魂外来のコンセプトを共有する指導医(総合診療科)の先生方が全国から集まってくれました。加えてミシガン大学のSanjey Saint先生(New England Journal of Medicineのeditorを務めておられます)にもお越しいただき、国際色・地域色豊かなイベントとなりました。

ありふれた疾患であっても、学生さんたちにとってはすべてが初めての体験です(わが国の大学医学教育は、見学が中心ですから)。震える指先、流れ出す汗、そして熱いまなざしに、彼らの緊張や情熱が凝縮されているように見えました。

思えば小生も医学部六年生のとき、実習先の市中病院で薬剤静注を任され、コントロールできないほど声も手も震えたものです。部屋を後にするとき、聞こえてくる患者さんたちの避難の声に、涙が出てきたものでした。

そんなことを思い出すと、学生さんたちを応援したくなります。いつの間にかわがこじょんのびたちも、学生さんにアドバイスを送っています。彼らにとっても他人事ではなかったのでしょう。共感とともに思わず指導したくなる気持ち。これぞ実践智を伝えてゆくことの本質であり、理想的な屋根瓦方式というべきでしょうか。こじょんのびたちの成長を頼もしく思ったことでした。

闘魂外来のあとは、場所を妙高の温泉に移して懇親会、続いて世の更けるまで症例検討会を行いました。翌日は妙高山のふところに抱かれて、Saint先生の教育回診を受けました。最後に記念写真を撮影し、熱く、忘れられない一泊二日のイベントが終わりました。

実は、闘魂外来は当院には敷居が高いと思っていました。しかしながら、参加してくれた皆さん、準備に奔走してくれたスタッフの方々、全員の熱意に後押しされて、大成功で終了することができました。小生もいつの間にか年をとり、チャレンジ精神を忘れていたことようです。自分の足元を見直す貴重な機会でした。心から感謝、感謝です。

それにしても、Saint先生や総合診療の先生方と話をして感じるのは、その鑑別診断の豊富さです。どうしたらその力を身につけることができるのか。今回参加してくれた学生さんの中にも、すでに研修医を凌ぐような生きた知識を有している方もいます。それは個人的な資質の差なのか、教育の仕方の差なのか。プログラム責任者としては、後者だと思いたいところです。資質の差はあっても、それなりに成長してゆけるような後押しができる研修を実現したい、そう思うわけです。

そんなわけで、小生もバージョンアップせねばなりませぬ(笑)。最近印象に残ったのは、志水太郎先生の「診断戦略」(医学書院)。診断に至るさまざまな思考プロセスについて詳述する、これまでになかった類の本です。新鮮です。そのうちに読書会でも開こうかね、こじょんのび諸君!

 
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