往く人、来る人h2-icon-diary

待ちわびた桜の季節も瞬く間に過ぎた。年度末からの忙しい日々が一段落したところで、前回コラムからの出来事を振り返ってみる。

3月20日、臨床研修終了式。6名の二年生たちが無事研修を修了し、巣立っていった。後輩研修医や職員に向けて、心温まるスピーチを残してくれた。全員男性なので、昨年のように涙、涙という感じではなかったが(若干例外もいたようだ)、素直な言葉に心が動く。

「そうか、そんなことを考えていたのか。」

そう思わされることが多い。プログラム責任者として心を砕いてきたつもりだが、彼らのことをよく知らなかったことに気付く。やりがいがあったこと、達成感を感じたこと、楽しかったこと。ポジティブな経験もたくさんあったとは思うが、誰にも言えずに傷つき、悩み、迷いながら日々の研修を送っていたことがわかる。もっと話を聞いてあげればよかったと思う。いささかつらい時間である。

場所を移して、臨床研修上越糸魚川コンソーシアムの全研修医が集まって祝宴を開く。一言ずつ挨拶をしてもらい、記念品を手渡す。お酒が入れば懐かしい思い出がよみがえる。旅立ちを見送るのは、正直なところ淋しい。同窓会では元気な姿を見せてくれよ、そう伝えながら握手を重ねる。今後の成長と幸運を祈るばかりである。ありがとう。

4月1日、新入職員対面式。この日はすべてが新しい。今年もピッカピカのニューこじよんのびがやってきた。基幹型はフルマッチして6名、大学病院からのたすきがけが1名、合計7人のルーキーたちである。たすきがけの二年生も1名来てくれたので、一気に大所帯になった感じがする。

白衣に着られているような初々しい姿に、思わず声をかけたくなる。後輩ができて、新二年生の表情が引き締まっている。よろしくお願いします、という戸惑いがちな彼らの言葉に、もちろんだよと心の中で応える。

とはいえ、万事はこれからである。二年の間に、彼らを医者として独り立ちさせなければならない。多くの行動目標や経験目標をクリアさせ、修了まで後押ししてゆかなければならない。プログラム責任者としては、一年で一番気持ちが引き締まるときである。

当院では、研修に先立って、彼らルーキーにフレッシュマンセミナーというオリエンテーションを行っている。今年はその期間を二週間に延長し、コメディカル研修に近い内容のものにブラッシュアップした。

研修医の指導には、指導医だけではなく、他職種が関わらなければならない。いわゆるinterprofessional educationである。グラム染色、血液交差試験、心電図記録の仕方など、重要なスキルをここで体験する。ナースと一緒に、体位交換、排泄介助、血管確保、与薬などのナーシングスキルを実践する。ナースはとりわけ研修医にとって大切な教師である。感受性豊かな時期の経験が、今後の医師のキャリアの中で必ず生きてくるに違いない。快く協力してくれた看護部のスタッフはじめ、すべての職員に、心からお礼を述べたい。

皆にお世話になったからには、プログラム責任者たる小生も、体を張らねばなるまい。毎年小生が患者役になって、ルーキたちに患者さんへのアプローチを学習してもらっている。一昨年は急性虫垂炎、昨年は肺塞栓、今年は洞不全の患者を演じた。このプロセスを通じて、手際の良い問診、バイタルサインの解釈、身体診察の手順、問題リストや初期計画の作成など、診療のためのひととおりの手順を学んでもらう。一所懸命に考える彼らの姿が頼もしい。

いずれ小生が本当に病気になったとき、頼れるのは彼らである。すくすく成長してほしいと思う。サポートは惜しまない。これからずっと、一緒に学んでゆこう。

 
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