くも膜下出血h2-icon-trivia

今まで経験したことがない突然の割れるような激烈な頭痛はくも膜下出血に特徴的な症状で、自分で診断をつけてくる患者さんもおられます。嘔吐を伴い一時的に意識を失っても回復しますが、中には昏睡に陥り急速に死に向かうこともあります。稀には風邪と誤診されるような軽症の場合(警告出血)や、発症と同時に心停止する劇症型もあります。3分の1の患者さんで親子・兄弟での発症があり、家族歴にくも膜下出血があった場合は検査を受けたほうがいいでしょう。原因のほとんどは脳動脈瘤の破裂によるものです。

上越圏内の発症率は人口10万人当たり21人(以上)で(男女比18:24で女性に多い)、女性では60台に、男性では40~60歳に最も多く、朝と夕方に発症のピークがあります。

破裂した動脈瘤は再破裂しやすく死亡に直結しますから発症後早期に顕微鏡下の直達手術でクリップをかけたり(クリッピング)血管内手術で細いコイルをつめたりして閉塞しなければなりません。現在のところクリッピングのほうが術後再出血や再手術が少なく確実性は高いといえます(詳細は上越総合病院あるいは新潟労災病院ホームページをご覧ください)。

初回発症で死亡率約50%という報告もありますが、私が担当した800人以上の患者さんでは検査・手術前に約14%、手術後に12%が亡くなり全死亡率は26%でした。一方、全体の3分の2の方は社会や家庭に復帰でき、明暗のはっきりした病気といえます。一般に重症例、高齢者、脳底動脈瘤が予後不良です。したがって治療成績はこれらの要素を考慮し、多数の手術例と非手術例を併せた全体の成績をみることが大切です。

近年MRIで未破裂脳動脈瘤が発見されることが多くなりました。ごく小さなものや形が丘状のもの、中大脳動脈の動脈瘤は破裂しにくく、内頚動脈、前交通動脈、脳底動脈の動脈瘤は破裂しやすいといわれています。破裂する率は年間1~2%程度ですが予防する方法は手術で閉塞するしかありません。上越総合病院・脳神経外科では髪を剃らず最小の皮膚切開、小さな骨窓でクリッピングを行っています。2週間前後で退院できます。

上越総合病院 脳神経外科 江塚 勇

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