上越医師会学術講演会「肺癌診療の進歩」を終えて (本間Dr)

5月15日に肺癌診療に関わる講演会が当院を主体に開催されました。当日は100名を越えるたくさんの方にご来場いただき、上越医師会をはじめ関係各位に深く感謝申し上げます。

講演会のテーマは「肺癌診療の進歩」で、呼吸器内科、放射線治療科、呼吸器外科の3科が講演いたしました。いずれも肺癌治療の最先端を紹介する内容で、その治療を『上越総合病院』で受けることが出来ることをご理解いただけたものと思います。

ここではご来場いただけなかった方に向けて、要点をお書きしたいと思います。

(1)「内科における肺癌治療の現状と最新情報」

当院 呼吸器内科 市川紘将 医長

肺癌の内科的治療に関して、過去10年間で最も進歩したことが大きく2点挙げられます。一つは分子標的治療薬が登場したこと、もう一つは非小細胞肺癌の治療が組織型(腺癌、扁平上皮癌など)によって異なるようになったことです。

これまでの治療方針は、小細胞肺癌か非小細胞肺癌かで異なりました。最近では非小細胞肺癌の中でも、より詳しい組織型と遺伝子変異の有無が治療方針を変える重要な要素になりました。特に分子標的治療薬は、遺伝子変異を調べなくては適切な処方をすることができない薬剤です。組織型と遺伝子変異に合わせて適切な治療薬を選択することは、肺癌の治療成績を大きく向上させることにつながります。

当院では最先端の治療薬を適切に投与するため、確実かつ詳細な検査を心がけています。

(2)「最先端の肺癌放射線治療;定位照射と今後の動体追尾照射について」

当院 放射線治療科 江部和勇 部長

放射線治療とは腫瘍に向かって放射線を照射することで、腫瘍を壊死させ縮小・消滅させる治療です。

肺癌の場合、呼吸によって腫瘍が移動するため、いかにして腫瘍の位置を把握し、放射線を的確に照射するかが課題でした。この課題に対して、従来は照射領域を広めに設定し対応してきましたが、最近では技術の進歩に伴ってリアルタイムに腫瘍の位置を捉えることが出来るようになったのです。

当院は世界最新鋭の放射線治療装置を導入し、より正確な放射線照射を行える日本でも数少ない施設です。

(3)「呼吸器外科領域における低侵襲手術」

富山大学附属病院 呼吸器一般外科 土岐善紀 診療教授

呼吸器外科領域の低侵襲手術とは、いかに骨・筋肉・神経を障害させないかがポイントになります。なぜならばこれらが呼吸を司る大事な要素であり、手術後に大きく影響するからです。富山大学附属病院では低侵襲手術である「完全胸腔鏡下手術」を2002年から開始し、10年以上の実績があります。

肺癌の外科治療は古くから「肺葉切除術および所属リンパ節郭清」です。多くの施設でこの手術を「胸腔鏡下手術」と呼ばれる方法で行っていますが、実は世界も日本も多くの施設が「開胸」を併用して行っています。

富山大学附属病院では2002年より開胸を行わない内視鏡操作だけ(完全胸腔鏡下)で肺葉切除術および所属リンパ節郭清を行っています。10年以上の培った歴史のなかで、傷や疼痛が少ないことはもちろん、治療成績においても良好な結果が得られています。

また、肺癌以外の分野、たとえば縦隔腫瘍の分野でも、 内視鏡操作だけの「完全胸腔鏡下」手術を行っております。胸骨正中切開とよばれる胸の真ん中にある骨を縦断することなく手術が可能です。この術式に関しても4年以上の歴史があり、良好な結果が得られています。

今回紹介した手術手技は4月から開設した上越総合病院でも本間医師のもとすでに実践されています。

以上、当院の肺癌診療に関わる3科はいずれも日本最先端の診療を日々実践しています。肺癌に関して診療を希望される方は、お気軽に当院を受診・相談下さい。



ページの先頭へ