新潟県厚生農業協同組合連合会 上越総合病院

病院長挨拶

病院長挨拶(2023年8月)

病院長 篭島 充

 平素は上越総合病院に多大なご理解、ご支援をいただき、ありがとうございます。

 ウクライナの戦禍はなお止まず、物価高が続き、国内ではゲリラ豪雨や猛暑が恒例になってしまいました。5類相当となった新型コロナウイルス感染症は、県内でも感染者が急増しており、第9波の再来が懸念されています。何かと落ち着かない毎日だからこそ、健康に留意し、日常を大切にしたいものです。

 さて、以前からこの場でもお伝えして来ましたが、来年4月からの医師の働き方改革に向けて、当院でも準備が急ピッチで進んでいます。これまでの医療が医師の長時間労働に支えられてきたことは否めませんが、今後はそこに上限が設けられるため、医師は限られた時間の中で診療せざるをえません。当院は地域における救急医療や、手術などの専門的な検査、治療を担っており、これらに支障がないようにするためには、これまでの診療スタイルの見直しが必要です。すでに院内掲示もしておりますが、病院をご利用の際には、以下のことについてご理解とご協力をお願いいたします。
①病状が比較的安定している方には、当院以外にかかりつけ医を見つけていただき、平素はそちらへの通院をお勧めいたします。当院とかかりつけ医と、二人の主治医がいる形です。病状悪化時には当院で対応をいたします。
②入院中の患者さんの病状説明は、緊急でない限り、平日の診療時間内に行います。
③当院の診療については、主治医ひとりだけではなく、その科の医師全員がチームとして対応します。休日や夜間など、主治医と違う医師が対応することもございますので、ご理解をお願いいたします。

 働き方改革以上に、今後のこの地域の医療に影響が大きいのは、地域医療構想です。報道されているように、労災病院の診療が停止されることが決まりました。糸魚川ではお産ができなくなりました。県立中央病院ではこの春、看護師不足で一時的に入院患者の受け入れが制限されました。当院も含めて、地方ではどの病院も、看護師、介護士、薬剤師など、スタッフの確保が難しくなっています。 一方で医療の進歩は目まぐるしく、これらに対応しながら医療を維持してゆくことは、もはや一病院の努力だけでは不可能になりました。これからは、地域の関係者すべてが、個々の病院のことよりも地域全体のことを考えて、力を合わせ、圏域の医療を守ってゆくようにしなければなりません。

 そのために、上越糸魚川二次医療圏では、病院再編の話し合いが加速しています。本年度内に将来像が呈示される予定ですが、わたしはどの病院も今のままではいられないと思っています。病院の数や規模、役割の見直しが避けられないでしょう。

 このように書くと、心配になる方もおられるかもしれません。しかしながら、わたしの考えは違います。

 繰り返しますが、今のままでは、地域の医療を維持してゆくことは難しいのです。必要なのは、新しい仕組みを考えることです。新潟県、とりわけ上越糸魚川医療圏は地域医療構想に先進的に取り組んでおり、全国的にも注目されています。この地域の関係者が問題意識を持って将来のことを検討していることに、みなさんは希望を持っていただきたい。そう思っています。

 地域医療構想の一環として、行政の指導もあり、当院は紹介患者重点医療機関の指定を受けることになりました。医療機関へのかかり方として、国はまずかかりつけ医に相談をして、病院での診療が必要であると判断された場合、紹介状を持って病院を受診する形への転換を進めています。紹介患者重点医療機関はこのような患者さんを中心に診療する病院です。したがって、今後は紹介状を持参していただくことが基本となります。詳細はおってご案内いたしますが、ご理解のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

 現在当院では、救急入口前に、透析棟の新築工事が行われています。みなさまにはご不便をおかけしておりますが、新潟労災病院の透析患者のみなさまが、今後当院で透析治療を継続できるようにするための整備ですので、ご理解をいただきたく存じます。

 この工事も、地域医療構想の一環です。さすれば、日々の工事のとどろきは、透析機能の集約というだけではなく、上越糸魚川医療圏の未来に向けた、さきがけの音だとも言えるでしょう。来春には竣工の予定です。暖かく見守っていただければ幸いに存じます。

 先月末から、正面玄関脇に患者サポートセンターを開設しました。これは従来の地域連携センターの機能を拡充したものです。開業の先生方や地域の病院との連携を深めることはもちろん、入院に必要な事務手続きを進めたり、患者さまのさまざまなご相談に対応したりして、より気持ちよく、効果的に当院をご利用いただけるように工夫をした結果です。

 このように、医療をめぐる状況は変化が目まぐるしく、昨日までの常識が通用しなくなってきています。そんな中でも、この地域に末永く医療を維持してゆくために、そのフロントランナーとして、当院は真摯に取り組んでゆきたいと思っております。引き続きご理解、ご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願いを申し上げます。

ふるさとや 松の苔づく蝉のこゑ

室生犀星

 小さい頃、思い出の中の夏も、いつも猛暑でした。入道雲を仰ぎ見て、家の近くの神社に登り、木陰でつかの間の涼をとります。苔むす石や灯篭。降り注ぐ蝉しぐれ。

 そんな景色の中で育ててもらった一人として、安心して暮らせる地域、その基盤となる医療を守ってゆくために、一所懸命に取り組んでゆきたいと思っています。今後とも上越総合病院を、何卒、何卒よろしくお願い申し上げます。

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