新潟県厚生農業協同組合連合会 上越総合病院

病院長挨拶

病院長挨拶(2024年4月)

病院長 篭島 充

 いつも上越総合病院に多くのご理解、ご支援をいただき、ありがとうございます。

 お彼岸近くまで寒い日が続きましたが、ようやく待ち望んだ花の季節がやってきました。
新しい年度を迎え、当院でもさまざまな職種で、多くの新人が医療人としてのスタートを切ります。転勤してきた仲間もいます。全員で力を合わせ、地域のみなさまに寄り添った医療の実現に努めてまいりますので、ご支援のほど、よろしくお願いを申し上げます。

 さて、かねてからお伝えしてきたとおり、いよいよ医師の働き方改革がスタートいたします。当院でも準備を重ねてまいりましたが、それらを着実に実行してまいります。

 今一度要点をお伝えいたします。医師の時間外労働が制限されるため、業務をできるだけ時間内に終えるように努めます。そのため、入院している方の病状説明は、原則として診療時間内に行うことといたします。夜間や休日の緊急呼び出しで仕事をした医師には、日中の診療時間内にその分の時間を代償休息として休ませなければならなくなります。そのため日中の業務量や内容を見直さざるを得ません。したがって、入院中の患者さまには、病状が小康を得たところで回復期以降の病院や施設への転院をお勧めいたします。また、一人の主治医が診療するのではなく、同じ診療科の複数の医師がチームで診療にあたります。外来では、病状が落ち着いたところでかかりつけ医への通院をお勧めすることが増えます。いずれも地域のみなさまのご理解なしには実現できないことです。ご協力のほど、何卒よろしくお願いを申し上げます。

 そして、新潟労災病院のことにとどまらず、ここ上越でも、医療再編が進みます。高齢化社会、働き手の不足、わが国の経済の減速など世の中が変わってゆく中で、今までと同じ医療を続けることはほぼ不可能になっています。そんな中でどうやってこの地域に医療を残し、守ってゆくか。今後の医療の在り方を真剣に考えなければなりません。そのために地域医療構想調整会議が開催され、行政も含めて、関係者が日々話し合いを重ねています。

 一例として、この4月から、当院は新たな透析棟を建てて、新潟労災病院で透析を受けていた患者さまを受け入れることにいたしました。同じように、新潟労災病院のそのほかの診療も、今後地域の他の病院で請け負うことも、地域医療構想調整会議で合意されました。当院は整形外科を中心とする手術や、救急の受け入れを増やして対応いたします。

 また、当院では2月から選定療養費(いわゆる初診料)を増額しました。これは地域医療構想調整会議で紹介患者重点医療機関に指定されたため、それに伴う要件として実施したものです。このように、地域における病院の役割分担と連携を進める方向に国の制度変更が行われているのですが、この4月からの診療報酬改訂では、これがいっそう強力に推し進められます。

 上越糸魚川二次医療圏における地域医療構想調査会議の方向性は、このような国の方針と一致しています。当院は現状では救急や急性期の対応を主な役割として求められておりますが、このような方向性に沿って、今後もこういった患者さんを積極的に受け入れ、一方で早期の退院や他施設への転院を進める対応をすることになるでしょう。いろいろなご意見もあろうかと存じますが、さまざまな制度や地域の関係者の合意に沿って、熟慮を重ねたうえでのことですので、何卒ご理解を賜りますよう、お願いを申し上げます。

 さらに、今後の地域全体の医療のあり方についての話し合いも進められています。働き手の確保が難しくなる中で、どこに、どんな役割の病院をいくつ設置しらたよいのか。それぞれの病院がどんな機能を引き受け、急性期から回復期、慢性期、在宅といった医療をどうやってつないでゆくのか。どのように医療を担う人材を確保するのか。大変スケールの大きな話です。わたくしの予想では、上越糸魚川二次医療圏のどの病院も、今のままではいられず、全く一新された形の医療体制になってゆくのではないかと思います。

 新潟労災病院のこともあり、この種の話題に不安を覚える方も少なくないでしょう。ご安心ください。わたくしたち関係者は、安全で質の高い医療を地域に残してゆくために話し合いをしているのです。一新された医療体制を、大きな希望とともにみなさまにお示ししたいと思っています。今後の話し合いの推移を見守っていただきたいと存じます。

 世の中を見れば、震災、止まない戦禍、物価高など、心が痛むことばかりです。しかしながら、新しい2024年度はたくさんいいことがある年であってほしい。新人たちの笑顔、そして病院にお越しのみなさんの様子を拝見して、そう願わざるを得ません。今後とも上越総合病院にご理解、ご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願いを申し上げます。

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