新潟県厚生農業協同組合連合会 上越総合病院

病院長挨拶

年頭のご挨拶(2024年1月)

病院長 篭島 充

 あけましておめでとうございます。日頃は上越総合病院にあたたかいご理解とご支援を賜り、まことにありがとうございます。

 昨年は新型コロナウイルス感染症の位置づけが2類から5類に緩和され、人のつながりが戻り始めた年でした。一方でウクライナのみならずエルサレムでも戦禍が勃発し、世界の分断がますます露わになりました。今年は明るいニュースが多い一年であってほしいものです。

 さて、報道でご存じのように、上越地域医療構想調整会議で、新潟労災病院の今後について関係者の合意がなされました。令和7年度中の閉院に向けて、新潟労災病院の診療機能を他の病院で分担することとなり、当院は整形外科・脳外科を中心とする手術とそれに付随する急性期医療、ならびに救急医療を担うこととなりました。本年4月からは透析機能を当院に集約することもすでに決まっており、新透析棟の工事が進んでいます。

 労災病院をご利用の患者さま、周辺地域のみなさま、職員のみなさまは、大きな不安を抱えておられることでしょう。上越総合病院としては、患者さまに安心して今後の医療を受けていただけるように、求められる役割を真摯に努めてゆく所存です。また、労災病院の職員のみなさまがこの地域で働いてゆけるように、積極的に取り組んでまいります。

 今回のことは、上越糸魚川医療圏の医療再編が本格的に始まったことを意味します。これまでもこの欄で紹介してまいりましたが、当圏域の医療現場では、以下のようなことが次々と起こっています。

 少子高齢化で看護師をはじめとする医療人材の確保が困難であること。どの病院も厳しい経営状況で、医療機器の更新が困難になるなど、診療の継続が難しくなっていること。医療の高度化に追いつけず、全国水準から後れを取っている部分があること。さらに今年4月からの医師の働き方改革で、病院医師の時間外労働に上限規制がかかり、救急医療をはじめ、従来のような医師の長時間労働に頼った医療ができなくなること。

 このようなわけで、今までの医療体制を維持したくても、残念ながらそれはきわめて困難で、手をこまねいていると、地域全体の医療が立ち行かなくなってしまう状況です。

 そうならないようにするためには、今のうちに、今後を見据えた抜本的な、新たな体制を築いておかなければなりません。それも、できるだけ早くやり遂げる必要があります。時間が経つほど状況が深刻になるからです。
わたしの予想では、今後10年ほどの間に、上越糸魚川二次医療圏では、現在ある病院の数も、規模も、名前も、大きく変わると思います。それくらい思い切ったことをしないと、みなさまの健康や、安心な暮しを守ってゆくことができない。そう思っています。

 その将来像を関係者が検討する場が、地域医療調整会議です。わたくしも上越総合病院を代表して参加しており、「医療を通じて上越地域の発展に貢献します」という病院の理念に基づいて、積極的に会議に関わり、地域の医療を守ってゆくように努めています。

 新たな体制がどうなるにせよ、今後は限られた医療資源、すなわち人、建物、医療機器、資金、時間を効率よく使う必要があります。そのために、病院の役割が今よりも明確に区別され、連携を強化することが求められます。

 地域の基幹病院は、緊急で対応が必要な患者さんや、そこでないとできない検査や手術を受ける患者さんを受け入れ、それらの処置に専念します。病状が小康を得たら、患者さんは短期間で退院し、基幹施設を支える別の病院に移ります。そこではリハビリや、退院にむけた調整などをします。ここを退院したのちは、ご自宅に戻って、近くのクリニックの先生などをかかりつけ医として、ふだんの健康管理や経過観察を受けます。自宅に戻らず、施設に入所する方もいるでしょう。

 このように、治療の段階に応じて、担当する医療機関が変わってゆくのがあたりまえになります。これまでも入院中に病室が変わることはありましたが、今後はあたかも地域全体がひとつの病院であるかのように、医療機関を移動していただくわけです。したがって、「わたしは上越病院にしかかからない」というわけにはいかなくなります。これを見据えて、当院では、病状が落ち着いた際はかかりつけ医を見つけてそちらに通院していただき、当院には半年ないし年に一回程度の定期受診、あるいは病状悪化時の受診をお勧めしています。ぜひともご理解、ご協力をいただきますよう、お願い申し上げます。

 さらに、地域医療調整会議の合意により、昨年秋から、当院は紹介患者重点医療機関に指定されました。これは、外来部門において、高度な検査や治療を目的に、他の施設からの紹介状を持参した患者さんをもっぱら診療する医療機関のことです。したがって、病状が落ち着いているときの経過観察などの役割は、かかりつけ医にお願いするようになります。いわば、国が進める外来機能の役割分担です。紹介状を持参しない患者さまの診療も行いますが、その場合制度の定めによって、これまでよりも初診料が割高になりますので、ご理解をいただきますようお願い申し上げます。

 あわせて、働き方改革が始まると、一人の患者さんを一人の主治医だけが担当するのではなく、医師がチームを組んで診療にあたるようになります。すべての医師が時間外労働の上限規制を守るには、病院に呼ばれることなく休める時間を確保しなければならず、そのためにこのようなしくみが必要なのです。
ですから、「わたしは〇〇先生にしか診てもらわない」というわけにはゆかず、チームを組んでいる別の医師(もちろん専門を同じくする医師です)が診療をする場面もあり得ます。この点もぜひ、ご理解とご協力をいただきたく存じます。

 このようなお願いの一方で、当院は患者さんに対するサービスの向上に努めています。昨年夏に規模を拡充した患者サポートセンターはその代表です。予定入院の患者さまには、入院前に一度ここをお訪ねいただき、病状や普段の生活の様子、お薬の確認、介護保険の利用状況、入院に必要な書類の確認と整理、入院後の説明などを、時間をかけてていねいに行っています。その結果、十分ご納得のうえで、安心して入院していただくことができます。患者さまにも好評のようです。

 世の中は大変なスピードで、大きく変わっています。これまでの常識が通用しない、先の見えない時代です。そんな時代だからこそ、柔軟な発想で智慧を絞り、地域全体で協力してゆかなければなりません。上越総合病院は職員一同そのような認識に立って、今後も一所懸命取り組んで参ります。

めでたさもちう位(中くらい)也おらが春

小林一茶

 子供のころ、クリスマスから年越し、三ケ日と続く毎日は、夢のようでした。ごちそうやお年玉もさることながら、遠方の親戚が帰ってきて、家族みんなが集まるのが嬉しかったのです。年を取って世間の難しさを知った今、あの輝きを取り戻すことは難しい。とはいえ、そんな中でも、自分の気持ちの持ち方ひとつで、世の中に灯りをともすこともきっとできるでしょう。一茶のこの句には、そんな希望を感じます。

 昨年と同じ文章で、新年の挨拶を終えましょう。医療はまさに激動の時代ですが、お一人お一人の物語を大切にしながら、荒波を乗り越えてゆけるように、職員一同邁進してゆく所存です。本年も、上越総合病院を何卒よろしくお願い申し上げます。

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