新潟県厚生農業協同組合連合会 上越総合病院

初期臨床研修

2023年09月12日

こじょんのび便り!2023年第7号



秋の日差しに照らされ稲穂が黄金となる季節となりました。妙高山を背景にこの素晴らしい景色を見るのは2度目となり、今年でひとまず見納めとなります。
 
最近、新天地への移動の準備としまして、たくさんの方に上越のお土産を購入することが増えてまいりました。上越の名産を食するよい機会と思いまして、様々な品を購入いたしました。お土産はなかなか単品で購入することが難しくあります、色々なお土産を個別に販売している場所があればよいと思いましたが、なかなかそのようなお店は見つけることができませんでした。代わりに、インターネットやお店の人に伺ってみると、やはり上杉謙信が携帯食にしていたとされる笹団子や謙信公をしのんだ出陣餅が定番の品であることが分かりました。
しかし!ここで私は笹団子にかわるとんでもないお土産を発見してしまったのです。それは笹団子のように包装のインパクトはなく、大きさも赤子の手のひらにのるほど、中にあんこやクリームが入っているわけでもない、見た目も質素な色に形、ただ、味は今までにない優しい甘さとさわやかさ、これまでの和菓子の概念を覆させられました。高橋孫左衛門商店の翁飴です。この商品の歴史は長く参勤交代の際に、高田城藩主がお土産として上納したことに始まり、古くは1900年のフランスパリ万博にはじまり数多くの賞を現代にいたるまで受賞しております。この小さく素朴なお菓子がこれほどの歴史と実績があることなど想像におよびませんでした。現代ではSNSの流行もあり印象的な見た目、派手な味がもてはやされる時代となりましたが、職人が丹念に作りあげた商品は素朴ではありますが力強く時空をこえて認められ続けるのだと実感いたしました。
 
医学にも共通したところがあるのかもしれません。AIやロボット、先進的な器具などいたるところでデジタルトランスフォーメーションが進んでおります。これはSNSでのスイーツの流行などとは違い人類が積み上げてきた医学の進歩として、普遍的な時代の潮流なのでしょう。では、医療界の翁飴とはなんでしょうか。やはり、医療にかかわるすべての人がもつ患者の幸せを願う心、救いたいという気持ちでしょう。これらの志は時代が変わっても不変的なものであり、彩りは乏しいかもしれませんが、医療者の愚直な気持ちの結晶であると思います。この結晶は口に含んでも驚きも刺激もないでしょう、ただ、優しく、ほんのり甘い、包み込まれるような味わいに違いありません。
 
と、まーさすがに無理やりなところはありますが、私が伝えたい思いを連続的に記述することができて幸せに思います。研修も残すところ半年をきりましたが、全力で駆け抜けるつもりです。たくさんの勉強をさせていただいた、上越総合病院関わる方々、上越の皆様には感謝してもしつくせず、一生忘れることのない私の医師人生の大きな基盤であることに間違いはありません。残りの研修で少しでも上越の皆様に何か恩返しができるように日々を過ごしていきます。今回の翁飴を提供するお店である高橋孫左衛門商店の商品である笹飴は夏目漱石の「坊ちゃん」にも登場します。私も坊ちゃんのように無鉄砲とはいきませんが、自分の正義感に正直にまっすぐなヒトになっていくことが上越医療へのよりよい姿勢だと思っております。
 
開示すべきCOI関係にある企業等はありません

昨年のCPVSコースからもうすぐ1年。今年度も来月10月に開催予定です。




 
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