新潟県厚生農業協同組合連合会 上越総合病院

病院長挨拶

年頭のご挨拶(2021年1月)

病院長 篭島 充

 あけましておめでとうございます。いつも当院に多くのご理解・ご協力を賜り、まことにありがとうございます。

 昨年を振り返れば、コロナに明け暮れた毎日でした。先の見通せない不安の中、みなさまも大変お辛い思いをなさったことと存じます。当院も重点医療機関に指定され、感染者の受け入れや、PCR検査などに対応し、感染対策の徹底に努めてまいりました。

 そんな中、職員の感染が発生し、外来・救急の受け入れを中断せざるを得ない、きわめて残念な事態に追い込まれました。みなさまには多大なるご心配、ご迷惑をおかけいたしました。この場を借りて、あらためて心からのおわびを申し上げます。

 さて、今年の干支は辛丑(かのと・うし)です。調べてみますと、「辛」とは痛みを伴う幕引きのこと、「丑」には殻を破ろうとする命の息吹、転じて希望といった意味が込められているそうです。

 言うまでもなく、新型コロナウイルスは私たちに多くの痛みをもたらしました。その衝撃は、グローバル化した現代社会の繁栄を吹き飛ばし、生活様式の大転換を求めるほどのものでした。一方で、海外ではワクチンの接種が始まりました。はたしてコロナ禍の幕引きにつながる希望の光となるのか、楽観はできませんが、そうであってほしいものです。

 そのほかにも、忘れてはならないことがあります。コロナ禍でこの国の医療体制の脆弱さが明らかになったにも関わらず、国は地域医療構想や、医師の働き方改革を進める方針を変えていません。県の議論はむしろ加速していくように見えます。

 これらはいずれも、地域の医療のあり方に大きな影響を及ぼすものです。病院の統廃合、経営母体の変更、高度急性期・急性期・回復期・慢性期といった役割分担の明確化などが急速に進むでしょう。医師の時間外労働が大きく規制されるでしょう。その結果、病院の在り様が変わったり、患者さんが自由に病院を選んだりすることが、あるいは難しくなったりするかもしれません。救急医療に対応できなくなる病院も出てくるかもしれません。病院は困ったときだけに受診して、普段はかかりつけの先生を見つけて相談しなさい、という仕組みに変わってゆくかもしれません。

 これらは少子高齢化社会の中でも持続可能な医療体制を築くために、国策として進められているものです。多少なりとも痛みを伴う改革であることは間違いなさそうです。

 殻を破ったその先に、果して希望ある絵が描かれるのかどうか。残念ながら、そこはまだ見通せません。確かなことは、今よりもよい医療を提供できるように、われわれも含めて、関係者一同が智慧を絞ってゆかなければならないということでしょう。

 いずれにせよ、今年が大きな変化の年になることは間違いなさそうです。痛みは小さく、希望は大きく。そうなることを願ってやみません。

あすしらぬこともをかしや 雪積る

飯田蛇笏

 本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

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