病院長挨拶
年頭のご挨拶(2026年1月)
病院長 篭島 充
あけましておめでとうございます。平素は上越総合病院に多くのご理解とご支援を賜り、心より感謝を申し上げます。
昨年は中東の停戦は実現したもののウクライナの戦禍は続き、国内では熊の脅威にさらされ、物価高は改善の兆しがなく、うれしいことの少ない年だったように思います。
報道でご存知のように、また昨年この欄にも記しましたが、医療を取り巻く環境も厳しさを増し、ほとんどの病院が赤字に陥っています。新潟県厚生連は県や病院立地自治体のご支援もあり、本年度は昨年度よりも収支が改善していますが、楽観できる状況ではないことに変わりはありません。
当院も昨年度よりも赤字がかなり圧縮できました。みなさまにご心配をおかけしていることは大変申しわけなく、おわびを申し上げます。また、財政支援をいただいた上越市、新潟県にはこの場を借りてあらためて感謝を申し上げます。
さて、今年は3月末に、いよいよ新潟労災病院が閉院いたします。すでに昨年12月下旬から新たな患者さんの受入れが停止されていましたが、とても残念なことです。
上越地域の医療に影響が出ないように、地域医療構想調整会議の合意をふまえて、当院としては、患者さまの受入れにできる限りの対応をするつもりです。
とくに整形外科については、4月から医師を4名から7名に拡充し、股関節の手術体制を拡充するとともに、手の手術も実施できるようにいたします。全身麻酔の手術件数が増えることが見込まれるため、新たに局所麻酔用の手術室を用意し、一部の手術はそちらで行います。また、現在の脳神経外科外来の場所を整形外科外来の一部に変更し、脳神経外科診察室は旧透析室周辺に移動します。場所が変わってご不便をおかけするかもしれませんが、ご理解、ご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
労災病院のこと以外にも、糸魚川市、妙高市も含めた上越医療圏では、さまざまな課題が浮き彫りになっています。経営が難しいことはもちろんですが、さらに困っているのは、病院で働くスタッフの確保が難しくなっていることです。看護師、薬剤師をはじめ、どの職種も人員を揃えることが大変です。
背景には少子化による働き手の減少があります。忙しさや責任の大きさに比べて待遇がよくないため、若い人が医療を職業に選ばなくなっているという意見もあります。令和8年度の診療報酬改定に向けた議論が進められていますが、この国の経済が弱くなり、医療にお金をかけられない状況が続くと予想される中、対策も限られてしまいます。さらに働く場所や生活の便利さを求めて、都会に出てゆく人が多いのもあいかわらずです。
とりわけ看護師不足は深刻で、そのため上越医療圏でも、これまでの診療を続けることが難しくなっている施設もあります。当院も手を尽くして、なんとか最小限度の数を維持しているというのが実情です。
このような状況ですので、これからの医療は、限られた人と資金を地域全体の財産として有効に活用する、活用しきることが大切です。かねてよりこの欄でお伝えしている地域医療構想は、まさにそれをふまえて、今後の上越地域全体のあり方を考えるプロセスです。
しばらく話し合いが進んでいませんでしたが、今年はこれが再び動き始め、今後の上越地域の医療の姿が提示されるかもしれません。
今と同じように病院が残り、今と同じように医療が提供できれば、それが一番いいでしょう。しかしながら、現場の実感としては、それは相当難しいことです。病院の数が減る、ベッド数が減る、病院の役割(つまり診療の内容)が変わる。こういったことが現実にならざるを得ないところまで来ていると思います。そうしないとどの病院も存続できず、この地域に医療を残すことができなくなってしまうかもしれないのです。
一方で、各施設に分散している機能を集約することで、ロボット手術など、今は行われていない診療が可能になるメリットもあります。われわれ医療者も、地域に住まうみなさんも、それぞれの事情を優先するのではなく、頚城野の医療を守るために、地域全体のことを考える必要があるのだと思います。
上越総合病院は、医療を通じて上越地域の発展に貢献することを理念としてきました。それはわたしたちの誇りでもあります。だからこそ、地域医療が危機を迎えている今このとき、地域医療構想の実現に向けて、求められる役割を真摯に努めてゆく所存です。
昨年11月に、当院は県から地域医療支援病院の指定を受けました。県内9つ目の認定です。地域医療支援病院とは、地域の医療を守る砦となる病院です。これをきっかけに、当院は、地域医療構想が完成するまで、地域のみなさんと向き合い、手を取り合い、地域の課題を解決するために、今まで以上に力を尽くしてまいります。
今年はと思うことなきにしもあらず
子規
みなさまにとって幸多き年となりますように。
今後とも上越総合病院を何卒よろしくお願い申し上げます。

