新潟県厚生農業協同組合連合会 上越総合病院

病院長挨拶

病院長挨拶(2025年4月)

病院長 篭島 充

 いつも上越総合病院に多大なるご理解、ご支援をいただき、ありがとうございます。

 頑固な冬将軍がたくさん雪を降らせましたが、今年も桜の季節が来ました。春爛漫。当院を選んでくれたたくさんの新人が、希望とともに医療人としての第一歩を踏み出します。転勤してきた心強い仲間もいます。職員全員こころをひとつに、新年度の扉を開けたところです。

 振り返れば、昨年度は大きな出来事が続きました。新潟労災病院の血液透析が当院に集約され、新透析棟に新たな患者さんと職員を迎えました。おかげさまで大きな事故もなく、順調に治療が進められています。ご理解、ご支援をいただいたみなさまに心より感謝を申し上げます。

 また、医師の働き方改革が動き出しました。時間外労働に新たな制限が設けられましたが、今のところそれほどの混乱もなく推移しております。しかしながらこれに対応をしてゆくためには、今後もみなさまのご理解が欠かせません。診察や病状説明はできるだけ診療時間内に受けていただくこと、当院以外にかかりつけ医を見つけていただき、病状が落ち着いたら普段はそこに通院していただくこと(この場合も年に1~2回の経過観察や、病状が急に変化した場合の対応は当院でいたします)などに、ご協力をいただきますよう、お願いを申し上げます。

 そしてもう一つ、本年年頭のこの欄でもお伝えしましたが、経営状況の変化のことです。昨年度の診療報酬改定はこのとのほか厳しく、円安や海外の戦禍の影響などで物価が上がっているのに、それをまかなえるだけの収入が確保できません。加えて、コロナ禍で減った患者さんの数が元に戻っていません。そのため全国の病院で経営が悪化しており、黒字の病院は少数だそうです。

 県内でも状況は同じで、多くの病院が赤字化しています。県立病院は行政から例年多額の財政支援を受けていますが、それでも高額の赤字となっています。

 厚生連病院は元来行政からの財政支援が県立病院ほど潤沢ではないため、影響が大きく、新潟県厚生連も、当院も、残念ながら赤字経営を余儀なくされています。この状況を乗り切るために、現状を正直にお伝えして、みなさまのご理解を賜り、そのうえで経営改善にまい進するという覚悟をして、職員一同で収支改善に取り組んでおります。

 その結果、年度途中の見通しよりも赤字額を減らすことができています。また、新潟県や上越市、糸魚川市、妙高市からのご支援をいただき、明るい兆しも見えてまいりました。この場を借りて、心から御礼を申し上げます。

 しかしながら、黒字化にはもう一工夫が必要です。今後3ケ年で赤字を解消することを目指して、引き続き努力を重ねてまいります。ご心配をおかけいたしますが、何卒ご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 最後に、今年度の展望です。地域に期待される役割が大きくなってきたので、地域医療支援型病院として認めていただけるよう、手続きを進めてまいります。また、新潟労災病院が今年度いっぱいで閉院を迎えますが、地域医療構想調整会議の合意事項に従って、積極的に患者さまを受け入れます。特に整形外科は、年間300件ほどの手術患者を受け入れる予定です。そのほか直江津近辺の救急患者のみなさんも原則として受け入れます。

 一方で、働き手が減り、経営の厳しい中で地域の医療を守ってゆくには、このような取り組みでは十分とは言えません。最終的には、地域の関係者全員で協力して、地域全体が一つの病院であるような体制を築くことが必要です。それこそが地域医療構想です。このことについてはこれまでも繰り返しこの欄でお伝えしてきたので、詳しくはそちらをご覧ください。

世の中は 桜が咲いて 笑ひ声

正岡子規

 この句のような、あたたかな、希望溢れる毎日であってほしいもの。上越総合病院は、これからも地域のみなさんと向き合い、地域の問題解決に取り組み、安心して暮らせる地域づくりのために力を尽くします。ひき続きご理解、ご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

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