病院長挨拶
病院長挨拶(2021年4月)
病院長 篭島 充
いつも上越総合病院に多くのご理解、ご支援を賜りまして、ありがとうございます。
新型コロナウイルスのみならず、豪雪にも見舞われ、昨年度は危機管理に追われた一年でした。みなさまにおかれましては、たいそう難儀をなさったことと存じます。病院も一時外来や救急診療を制限せざるをえなくなり、多大なご面倒、ご心配をおかけいたしました。あらためておわびを申し上げます。
その新型コロナウイルスですが、わが国にもようやくワクチンが届き、医療従事者の先行接種が始まりました。みなさまに先んじて接種の機会をいただいたことに、職員一同大きな責任を感じ、重点医療機関としての役割を果たすべく、決意を新たにしております。
さて、年度が替わり、今年も多くの新人や転入職員がやってきました。これまでで最多の、8名の臨床研修医も含まれます。また、歯科口腔外科と総合診療科の医師がそれぞれ1名増員となりました。彼らはみな、これからの上越総合病院、そしてこの地域の医療を支えてくれる仲間です。早く新しい環境に慣れて、活躍してほしいものです。どうか暖かく見守っていただき、激励を賜りますようお願い申し上げます。
これからの病院には、大きな課題があります。コロナ禍はまだ収束しておりませんが、国は地域医療構想、医師の働き方改革といった政策を着実に進める考えです。
地域医療構想は、少子超高齢化時代-すなわち働き手が減る一方で、医療や介護を必要とする人が増えてゆく時代-を迎えるにあたって、病院の役割分担を明確にして、効率のよい医療を行おうというものです。上越でも病院の再編が現実になる可能性があります。
働き方改革は2024年から実施が決まっていますが、この制度では、病院で働く医師の労働時間が相当厳しく制限されます。医師が病院にいる時間が短くなるわけですから、今までと同じような診療を続けることは難しくなります。急性期病院として当院に期待される役割、すなわち急に具合が悪くなったときの対応を維持してゆくためには、さまざまな対策が必要です。たとえば、病状が安定した時点で回復期や慢性期の病院に転院していただくとか、かかりつけ医を見つけて、ふだんはそちらに通院し、問題が起こったときに当院を利用していただくといったことなどに、一層のご協力をお願いすることになるかもしれません。そのほかにも、たくさんの工夫が必要で、頭を痛めているところです。
これらの問題は、地域の医療体制にきわめて大きな影響をもたらします。当院としては、期待される役割に真摯に取り組み、地域に貢献するという考え方に立ち、病院全体で対策に取り組んでゆく所存です。今後さまざまなお願いをする場面もあろうかと思いますが、ご理解、ご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
つらいことの多い時代だからこそ、当たり前のこと、変わらず守ってゆくべきものを大切にしなければなりません。お互いに共感する気持ち。困っている人のために力になってあげたいという気持ち。雪の重さに枝が折れても、くじけることなく咲いてくれた花のありようを見ながら、心を新たにしています。
さくら木に さくら一杯につきにけり
(室生犀星)
今後とも上越総合病院にご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。