新潟県厚生農業協同組合連合会 上越総合病院

病院長挨拶

念頭のご挨拶(2022年1月)

病院長 篭島 充

 あけましておめでとうございます。日頃は上越総合病院に多大なるご理解・ご協力を賜り、まことにありがとうございます。

 昨年もまたコロナに翻弄された一年でした。
 デルタ株の第5波は上越でも感染者が多く、みなさま不安な思いをなさったことと存じます。当院では重症者を含め、60名を越える感染者を受け入れたほか、上越地域のワクチン集団接種会場に選定され、週末ごとに非常に多くの皆様にご利用をいただきました。いずれも容易ではないミッションでしたが、職員一同の献身的な努力で、通常診療に大きな支障を来すことなく、何とか乗り切ることができました。みなさまには、面会制限などさまざまなご面倒をおかけいたしました。この場を借りてご協力に感謝を申し上げます。三回目のワクチン接種やオミクロン株など、気が抜けない日々が続きますが、今後も地域中核病院として、真摯に対応をしてゆく所存です。

 さて、以前からこの欄で、医師の働き方改革について取り上げてまいりました。法改正に基づき、2024年度から病院に勤務する医師の時間外労働に厳格な規制が設けられます。今年はそれに対応するための準備に目途をつけなければなりません。

 これまでの病院診療は医師の時間外労働に支えられている部分が大きかったのですが、今後はそれに上限時間が設けられます。さらに休日・夜間に働いた医師は、診療日の日中に休息時間を確保しなければなりません。したがって医師が診療に割ける時間が短くなるのは避けられません。限られた時間で地域のみなさんにどんな医療を提供したらよいのか。悩みながら院内で検討を重ねて参りました。

 当院のような地域の中核病院としては、手術や高度な検査、救急医療など、病院でしかできない医療を欠かすわけにはゆかず、これらは是非とも継続しなければなりません。そこに時間を割く分、一方ではそのほかの診療のあり方を見直す必要があります。そのようなわけで、不本意ながら、次のようなお願いをせざるを得ない状況でございます。

 まず、病状がおおむね安定している患者様については、日頃の経過観察を、当院ではなく、ご自宅に近い別の医療機関にお願いすることが多くなります。さまざまな健康問題で複数の診療科に通院中の方も、これらに幅広く対応し、投薬が受けられる、いわゆるかかりつけ医を見つけていただき、そこに通院していただくことをお勧めするようになるでしょう。これは当院とのご縁が切れるというわけではなく、たとえば半年に一回程度は当院を受診していただくなどして病状を確認いたしますし、具合が悪くなったときにはもちろんいつでも受診していただけます。

 また、入院患者さまのご家族への病状説明は、病状の急な変化などのやむを得ない場合を除き、原則として平日の診療時間内にお願いするようにいたします。

 医師は患者さまのそばにいたい、長く診療を続けたいと思っています。みなさまの利便性への配慮も大切であると承知をしています。
 だからこそ断腸の思いで、限りある時間を上手に使うために、このような判断に至った次第です。併せて職員も、院内のさまざまな業務手順を見なおして、効率がよく、質の高い医療の実現に努めて参ります。何卒ご理解、ご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

 話題は変わりますが、このたび上越地域は、国から地域医療構想の重点支援区域に指定されました。高齢化で医療やケアが必要になる方が増える一方で、若者の人口減少を反映して、病院でも働き手の確保が難しくなっています。今後の地域医療を持続可能なものにしてゆくために、上越でも医療機関の再編が進められ、大きく姿が変わる可能性があります。
 今年はそれに向けた議論が加速されるものと思われますが、当院としても、地域の医療にどのように貢献してゆけるか、しっかりと検討し、行動してゆきたいと考えております。

 今年の干支は壬寅(みずのえとら)です。「壬」には陽気を下にはらむ、「寅」には春の草木が生じるという意味があり、「壬寅」になると、厳しい冬が終わって暖かくなり、木々が芽吹き始め、新しい成長の礎となるという、希望が込められた意味になるそうです。

 だとすれば、社会全体としては、コロナと共存する日常を創造することに本格的に取り組む年になるでしょう。病院も、コロナ対策とともに新しい課題に取り組むときです。働き方改革と地域医療構想の中で、上越総合病院の良き伝統を残し、活かしてゆくために、職員一同力を合わせ、邁進してゆく所存です。

門松の雪あたたかに降りにけり

(岩田涼菟)

 幼い頃、この句のような景色を何度も見ました。時代は変わって門松も見かけなくなりましたが、行く年にはみなさまそれぞれの物語があったでしょうし、新たに来た年には、それぞれの希望があることでしょう。そんなことにも想いを馳せながら、これからも地域のみなさまと歩む上越総合病院でありたいものです。

 本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

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