新潟県厚生農業協同組合連合会 上越総合病院

病院長挨拶

病院長挨拶(2022年4月)

病院長 篭島 充

 日頃は上越総合病院に多くのご理解、ご支援を賜り、ありがとうございます。

 彼岸過ぎまで続いた寒さだけでなく、オミクロン株の大流行もあって、今年は長い冬でした。当院でも職員や入院患者さまの感染事案があり、大変なご心配、ご負担をおかけいたしました。この場を借りて、あらためておわびを申し上げます。

 当院に入院した感染者数は通算で100名を越えましたが、不幸にして感染した方も、そうでない方も、コロナでは誰もが難儀をなさったことでしょう。お見舞いを申し上げますとともに、感染対策に引き続きご協力をいただきますよう、お願い申し上げます。

 さて、新年度を迎え、今年もフレッシュな人材がたくさん加わりました。研修医も含めれば、医師数約90名の大所帯となり、診療機能を一層充実させることができました。地域の基幹病院の一つとして、みなさまに満足していただける診療を提供できるよう、職員一同引き続き一所懸命努めて参ります。

 話題を変えます。今後の医療には、地域医療構想と医師の働き方改革という大きな課題があることを、これまでもお伝えしてまいりました。これらはいずれも、国の医療政策として強力に進められていることです。

 少子高齢化の結果、患者さんは減らないのに、働き手は減ってゆきます。一般企業と同じように、都会の大病院への医療の集約化が進み、地方では医療の担い手を確保したり、医療の質を維持したりすることがとても難しくなっています。

 さらに、今後は病院で働く医師の時間外労働が厳しく制限され、休日や夜間に診療できる時間が限られます。時間外に働いた場合は、日中の勤務時間に代わりの休暇を与えなければなりません。そのため病院の診療は、病院でしかできないような高度なもの(手術や検査など)が中心となり、そのほかの診療は、別の医療機関(かかりつけの先生や、ご自宅近くの病院、診療所など)にお願いせざるを得なくなります。

 このような変化のもとで、どうしたら上越地域の医療を守り、持続させてゆけるのか。考えどころです。関係者が話し合いを進めておりますが、地域のみなさまにも、ご理解とご協力をいただくことが欠かせません。

 まず、病院以外に、ご自宅近くの開業の先生や診療所など、かかりつけ医を見つけて下さい。病状が安定しているときの経過観察や投薬、日常の健康管理はそちらにお願いして、病院には年に1、2回の定期診察に来ていただくことが、今後は当たり前になるでしょう。 もちろん、病状が変化したときや、急に容態が変わったときは、病院が対応いたします。決して病院との関係がなくなるわけではなく、病院とかかりつけ医と、二人の主治医がいるような状態になるということです。当院の担当医からそのような相談があったら、ぜひともご協力をお願いいたします。

 また、地域の中の医療機関で、病状に応じた役割分担がさらに進みます。急病で当院に入院しても、リハビリの時期になったら、回復期の機能を担当する施設に転院をお願いすることが標準となります。もちろん、そこで具合が悪くなれば、病院に戻ることもあります。ご理解のほど、お願いを申し上げます。

 夜間・休日の労働時間が限られた中で急患に対応するためには、日中の業務を効率よく行い、早朝出勤や残業を減らさなくてはなりません。そのため、入院患者さまの病状説明は、急変でやむを得ない場合を除き、平日の日中に行うことといたします。そのほかにも、様々なお願いをして参りますが、ご理解、ご協力をお願いいたします。

 自分の家の近くに大病院があって、いつでも、どんな医療でも受けられれば、それが一番いいでしょう。しかしながら、人も時間も資金も限られてゆく中では、残念ながらそれは叶いません。上越地域に末永く持続可能な医療体制を築くために、地域のみなさまにも、力を貸していただきたいのです。当院も職員一同精一杯努力をいたしますが、ぜひご理解、ご協力を賜りますよう、何卒よろしくお願いを申し上げます。

さまざまのこと思ひ出す 桜かな

(松尾芭蕉)

 今回はお願いするばかりで、いささか心苦しい内容となってしまいました。厳しい時代ですが、希望を忘れず、これからもご一緒に歩んでまいりましょう。引き続き上越総合病院を何卒よろしくお願い申し上げます。

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