2023年11月20日
こじょんのび便り!2023年第8号
研修医生活も気付けば残り4ヶ月半となりました。1年目は必修の内科を中心に研修し、2年目はそこで得た知識をもとに救急科、総合診療科、地域医療と外来をこなす研修が主でした。研修医主体で外来に取り組ませていただいたので、上級医の指示に従うだけではなく自身で方針を考える機会が多くとても勉強になりました。
外来は患者さんの主訴に合わせて鑑別疾患を想起しつつ問診して情報を集め、必要な検査を行い、それらをアセスメントし今後のプランを考えていくわけですが、これがやはり難しいと日々感じます。特にこの中でも最初の鑑別疾患を意識することが重要だなと思います。鑑別疾患として想定できていないと問診や診察、検査等が不十分になりやすく、検査していたとしても疾患の見逃しが生じやすいと感じます。
実際に自分も鑑別として挙げていなかった鼠径ヘルニアを見逃してしまいそうになったことがありました。当直中に腹痛で受診された高齢女性の方がおり、腹部診察上圧痛は軽度で全身状態は落ち着いていたため、各種検査をオーダーし検査結果待ちとして他の患者の対応をしていました。
この時意識して鼠径部まで見ていなかったため、CTの読影レポートが出るまで明らかにある鼠径ヘルニアに気付きませんでした。すぐ鼠径部まで診察し、鼠径部の膨隆と同部位の発赤を確認し、外科へコンサルトしました。当直中に偶然CTレポートがついたから良かったものの、それがなければ症状は軽かったためそのまま帰宅させて腸管を壊死させていたかもしれません。
混み合っていた当直中だったとはいえ、意識してないと明らかな異常ですら見逃すことがあるということを、身をもって体験した症例でした。この失敗から鑑別の意識が高まるようになり、2年目の外来研修をより良いものにできたと思っています。
今までの研修を振り返ると、何もできなかった1年目の入職当時から失敗を積み重ねながら少しずつ成長していったような気がします。そういった失敗ができる機会があり、失敗してもそのフォローやフィードバックが適切にある環境で初期研修ができていたことに感謝しています。
まだまだ至らない点が多くご迷惑をおかけすると思いますが、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。