2025年12月15日
こじょんのび便り 2025年第17号
お仕事体験ボランティアを振り返って
大学時代の恩師にお声がけいただき、2025年7月にパシフィコ横浜で開催された「サマーコンファレンス2025」にボランティアとして参加しました。
このイベントは幼児から小学生を対象とした子ども向けのお仕事体験で、私は医師・看護師・医学/看護学生から成るボランティアとともに、ドクター・ナースのお仕事体験ブースの運営を担当しました。
子どもたちには、血圧やSpO₂などのバイタル測定、聴診、耳鏡を使った観察、予防接種についての学習、針を付けない注射器を使った模擬注射、さらにレントゲン写真を見て骨折部位を指摘する、といった体験をしてもらいました。
私はその中でレントゲン写真のコーナーを担当し、レントゲンの仕組みを説明するとともにクイズを出題しました。
子どもたちに関節と骨折の違いを理解してもらうのに苦労した一方で、胸部レントゲンの隅に写る鎖骨骨折を見抜く3歳児がいたりと、驚きと発見の連続でした。また、保護者の方から「この骨折は手術になりますか?」といった鋭い質問が寄せられる場面もありました。
他のコーナーでは、特に注射体験が人気で、幼児たちが満面の笑みでパパやママに注射している姿がとても微笑ましかったです。
子どもの注射は「暴れて大変」という印象を持たれがちですが、最近は予防接種前に医師が子どもに分かりやすく説明し、納得したうえで接種を受けてもらう取り組みも行われていると聞きます。
子どもたちが生き生きと注射を行う様子や、クイズに真剣に取り組む眼差しを見て、子どもだから説明しても理解できないとは限らないと実感しました。病院を受診した際に何をするのかを理解してもらうことは大切ですが、現場では時間や余裕がないことも多いからこそ、このようなイベントを通して医療に触れ、親近感を持ってもらうことの意義を感じました。
また、私自身は救急外来で小児患者さんを診察する際、「泣かないでほしい(聴診ができなくなるので)」と心の中で願いながら、どこかおっかなびっくり接してしまうところがあり、子どもへの対応に苦手意識もありました。
しかしボランティアの医師・看護師・学生たちは、子どもと目線を合わせてしゃがみ込み、丁寧に説明し、溢れんばかりの笑顔を向けており、その姿がとても印象的でした。私にとっても、子どもとの関わり方を見つめ直す良い機会となりました。
病院の外で地域の皆さまと関わるこうした機会は大変貴重です。このような場を与えてくださった恩師に感謝するとともに、今後は私自身も、地域の方々と医療機関との垣根を低くし、交流を深める一助となれればと思います。

