2013年07月25日
後輩ができました
じょんのび先生のもと、のびのびと育てられ早一年。たくさんの後輩ができた。今年から教える立場でもあり、気合をいれた春は瞬く間に過ぎ、所謂1学期が終わった。通知表のかわりに、少し心に残るエピソードを話そうと思う。
4月、1年目のA先生が鼡径から血ガスをとる機会がやってきた。
「動脈の拍動は分かる?」
「はい、分かります。」
「拍動が一番強く触れる所を狙ってね。」
A先生は、緊張した面持ちで頷く。
「少し痛いですよ。動かないでくださいね。」
患者さんに声をかけ、A先生は針を刺した。慎重に、慎重に、針を進めていき、途中で首をかしげた。
「(血管に)当たらない?」
「はい。」
「少し抜いて、向きを変えてみて。」
もう一度トライするも、当たらない。そのまま引き継ぎ、代わりに動脈血を採取した。やりながら、ふと、去年の自分もこんな風に2年目の先生に教えてもらったことを思い出した。手技が終わり、ベッドサイドから離れながら、コツを教える。
「本にはこう書いてありますよね?」
一年前の自分と同じ質問。本には載っていないがこんなやり方もあり、大腿動脈はこのやり方で外さなくなったこと。橈骨動脈の場合は中々できなくて、循環器の先生に聞いたら、全員が全員、やり方が違っていたこと。去年自分が習ったことを自分の拙い経験も踏まえて教えていく。
「やりながら、自分が確実に当てられる方法を見つけるといいよ。」
あとは彼次第だ。
数ヶ月後の7月、A先生と当直に入ったとき、再び血ガスをとる機会がやってきた。
今回の患者さんは若い女性で、羞恥心を考えると、足の付け根からより手首からの採取の方が望ましい。
「鼡径からはできるようになった?」
「はい。先生に習ったようにやったら、外さなくなりました。」
うれしい返事が返ってきた。
「じゃあ、橈骨動脈からやってみようか。」
「はい。」
少し時間はかかったが、確実に橈骨から動脈血を採取できた。一つ一つの機会をしっかりとものにしてきたのだろう。彼の成長を目の当たりにして、とてもうれしかった。1年目の先生たちの成長ぶりは目覚ましい。自分も頑張ろう。自分の通知表がどうだったかは、また別の期会で。