新潟県厚生農業協同組合連合会 上越総合病院

初期臨床研修

2014年02月17日

オリンピックで思うこと

 早いもので二月ももう半ば。朝の回診のたび、病室のテレビからオリンピックのニュースが流れてきます。患者さんは一喜一憂しているようですが、われわれはいつもと変わらず、研修医諸君と診療を積み重ねる日々です。

羽入選手や平野選手の若い力。葛西選手のベテランの経験力。メダルを獲得したことはもちろん素晴らしい。だが、彼らをここまで引っ張ってきた原動力は何だったのか。わが研修医やスタッフに尋ねてみます。

ほとんどの人は「才能」と答えます。では、才能の本質とはなんでしょう。これはどうやら難しい質問のようで、スカっとした答が帰ってきません。皆さんはどう考えますか。

前回のコラムで、プロフェッショナリズムについての学習会を始めたことを書きました。その後シナリオベースのスモールグループディスカッションを四回行い、最後にプログラム責任者のレクチャーを加えて終了しました。

その後、アンケートに答えてもらいました。その結果は別の機会に発表したいと思っていますが、われらが研修医諸君が楽しくこのプログラムに参加し、議論し、省察してくれたことがよくわかりました。経験したことを振り返り、反省・分析し、シンプルな形にして心に残す作業、すなわち省察こそが行動変容の鍵です。彼らが一所懸命省察してくれたことをもって、このプログラムは半ば成功したと言ってもよいでしょう。参加してくれたこと、アンケートにたくさん意見を書いてくれたこと。心から感謝したいと思います。来年度以降も、さらにバージョンアップして継続開催してゆきたいと思っていますので、みなさん、ぜひ当院で研修をしてください(!)。

感謝といえば、先日日本医療教育プログラム推進機構が主宰する、基本的診療能力評価試験を研修医諸君に受験してもらいました。これは個々の研修医の力量を測ることが目的ではなく、その病院の研修プログラムがどの程度成果を挙げているのか、どこに弱点があるのかを知り、研修プログラムの質の向上に活かすことが目的です。そういう意味では彼ら個人にはあまりメリットはありませんが、皆進んで協力してくれました。素直な彼らに感謝、感謝です。もっとも、受験以降常に競争する風土の中で育ってきた仲間ですから、試験と聞くと血が騒ぐのかもしれません(笑)。ともあれ、どんな結果が出るにせよ、それをプログラム委員会にフィードバックして、君たちの、そして後輩たちの研修に活かしてゆくことを約束したいと思います。

二月は結構忙しくて、その後外国人講師を招いての教育回診もありました。講師は全国の研修病院で活躍している、現役のジェネラリストです。当院にも何回も来ていただいており、すっかりおなじみになりました。

今回は一年生のK君が自分の経験した症例をプレゼンテーションしてくれました。当然、英語です(笑)。資料の準備だけで相当骨が折れたはずだけれど、チェックする側も同じなので(笑)、どうかご容赦を。ともあれ、よく頑張ってくれました。ありがとう。

当日は病歴や身体所見をレビューしながらディスカッションをします。全員がディスカッションに参加してもらえるように、今回は椅子の配置を少し工夫しました。講師の先生もその意図をすぐに理解してくれて、大変賑やかなひとときでした。教育回診の時間はもちろん、その後の懇親会がとても楽しくて、毎回充実感とともに会を締めくくることができます。雪の日本庭園がとてもbeautifulで、皆が喜んでくれたのが印象的でした。

教育回診は、患者さんの訴えに潜む問題点を探し出すための思考プロセス作りだすトレーニングです。話を聞いているだけでも勉強になるけれど、ディスカッションに参加するともっと勉強になります。プレゼンの資料を作ると、もっともっと勉強になります。今年度はこれまで一年生6人のうち4人が担当しましたが、回を重ねるごとにプレゼンの質が上がっています。嬉しい喜びです。努力は嘘をつきません。今後も定期的に開催するので、残ったY君やZ君にも必ず担当してもらいます。心しておくように。

さて、冒頭の才能の本質の話です。いろんな答があってよいと思いますが、今の小生は自分を律して努力し続けることができる力こそ、それではないかと思っています。これはプロフェッショナリズムにも通じる部分でもあるでしょう。年よりの独りよがりな意見かもしれませんが、いかがでしょうか。

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