2015年07月28日
6月に行われた日本内科学会信越地方会において発表した内容が若手奨励賞に選出されました。 当院消化器内科の先生方をはじめ、沢山の方々のご指導のお陰で受賞することができました。 この場をお借りして心より御礼申し上げます。 一日も早く地域の皆様のお役に立てる消化器内科医になれるよう、日々精進いたします。 今後とも変わらぬご厚誼とご指導のほど、宜しくお願い申し上げます。 研修医2年目 野尻
2015年07月22日
指導医として、研修医諸君の書いた文章をチェックする機会が多い。カルテの記載、レポート、学会発表のスライドや原稿、教育回診の資料など。何も見ない日はないと言ってもよい。チェックというと上から目線で印象が悪いけれど、なるほどと考えさせられる内容もあり、小生たちにとっても勉強の場である。その意味では、君たちに感謝しなければならない。 そんな中で、気になることがある。語りことばと書きことばの区別がきちんとできていないことである。別の言い方をすれば、記録に残したり、公文書として残したり、公の場で聞いてもらったりする文章には、友達と会話をするときの表現を持ち込んではいけないということである。 具体的に小生が違和感を感じるのは、助詞、いわゆる「てにおは」が抜けることと、業界一般に通用しない業界略語が使われがちな点である。 「てにおは」が抜けるというのは、たとえば次のような場合である。 「○月○日当院受診した。」 これは正しくは、 「○月○日に、当院を受診した。」 もしくは、 「○月○日、当院を受診した。」 であろうと思う。類似の表現はあちこちで見受けられる。 「患者胸痛自覚したため….」 ここはやはり、 「患者が胸痛を自覚したため….」 であろう。「腹痛消失し….」ではなく、「腹痛が消失し….」である。 業界全体では一般的でない略語が用いられる例として、たとえば「胸苦」「呼吸苦」などがある。それぞれ「胸内苦悶(あるいは胸苦しさ)」「呼吸困難」と言うべきであろう。ちなみに、ナースの使う略語に「食介」というのがある。わかりますか?「食事介助」の略である。通勤快速を通快と略すようなウィットが感じられる。思うに、略語のセンスは医者よりもナースの方に一日の長がある。頭が柔らかいということであろう。 話し言葉で習慣になっている表現といえども、そのまま公けの文章に書いてしまうのはNGである。言語は時代とともに変わってゆくものであるから、固いことを言うつもりはない。ただ、文体は人を表すとも言う。その時代の標準的なスタイルを逸脱すると、読んだり聞いたりする方には違和感があるし、肝心の文章の内容や発表者の能力まで過小評価される懸念もある。 現在の医学界では、カルテや学会発表、サマリーなどに、助詞なし文章やローカル略語を許容する文化はまだ醸成されていない。ここは我慢である。トレーニングの一環と考えて、きちんとした文章を書くことを心がけてはどうだろう。そんな小さな積み重ねが、しばしば大きな飛躍につながる道だったりするのだから。
2015年07月16日
学生時代に受けた Sanjay 先生のケースカンファレンスは、診断に至るプロセスには一つ一つの所見を積み上げていくことが大事だと実感できる、推理小説を読んでいるかのような高揚感を感じるものでした。今回の教育回診も Sanjay 先生の思考過程が見えるように進めてくださり、先生の著作である米国で人気の Saint-Frances Guide のエッセンスが詰め込まれていたのではないかと思います。 お話し好きでフランクにいろんな話をしてくださり、研修医生活だけでなく私生活に対するアドバイスもいただきました!いい意味で高名な先生であることを感じさせない、思いやりにあふれた先生でした。 来年もお会いできるのが楽しみです。 こじょんのび1年次より
2015年07月07日
初めまして。上越総合病院1年目研修医の鈴木拓次と申します。 先日、6月27~28日にかけて上越・糸魚川コンソーシアム主催のゴータム・デシュパンデ先生の教育回診がありました。ゴータム先生は米国大使館で医師として勤務されている方です。 1日目は糸魚川総合病院で症例検討とゴータム先生の神経学的診察法のレクチャー、2日目は上越総合病院で症例検討を行いました。自分は英語に馴染みがなく、始まるまで不安や緊張もありましたが、ゴータム先生の気さくな人柄や、時折日本語を交えたジェスチャーもあり、楽しみながらレクチャーを受けることが出来ました。神経学的診察法では限られた時間を意識しながら全身の所見を取っていく手法を、実践を通して学びました。2日目の症例検討ではプレゼンターを担当させていただき、不慣れであり失敗もありましたが、それだけに普段の英語学習の重要性をよりはっきりと認識できたように思います。 2日間にわたって、大変貴重な経験を積ませていただきました。これからの病院での仕事に活かしていきたいです。ゴータム先生、およびプレゼン発表にあたりアドバイスをくださった篭島先生、総合診療科の先生方、本当にありがとうございました。
2015年06月26日
お久しぶりです、こじょんのび7号です! 先日、医療に興味を持っている地元の高校生の方達が、文化祭の振替休日を使って上越総合病院に職場見学にいらっしゃいました! 皆さんそれぞれ指導医の先生に従って各診療科での外来見学などされ、昼食会を挟んで午後は研修医とのグループワークと盛りだくさんのスケジュールでしたが、どの方もとても真剣に参加していらしてました。その一生懸命な眼差しに、若いって良いな高校生は素敵だな、と私達の方こそとっても良い刺激を受けて、まだまだお手本には程遠いけれど、いつか医療の現場で再会を果たすことができたらその時は良い先輩になっていよう!と改めてモチベーションが高まりました。 部活に勉強に、習い事や恋愛に……今時の高校生はきっと毎日色々なことで忙しくされてると思うんです。そんな中で、医師という職業や地域の医療に興味を持って今回の体験学習に参加してくれたのがこじょんのびはとても嬉しかったです。 終わってから振り返ると、高校時代って勉強以外にもっともっと、今だからできる、今しかできない、みたいなことが沢山あった気がします。失敗を恐れずに意欲をもって、色々なチャレンジで高校生活を充実させてほしい、と老婆心ながら思います。 医療人は人に対する愛と勇気と情熱で出来てるからさ……と勝手に主張しているこじょんのびなのでした。 それにしてもやっぱり、高校生ってフレッシュで羨ましいな~。皆すっごくきらきらしてました、まる。
2015年06月09日
こんにちはー!新大出身、1年目こじょんのびの若竹です。先日、糸魚川で行われたCPVS(Clinical Physiiology of Vital Signs)に参加してまいりました。 入江聰五郎先生とインストラクターの皆様にはるばるお越しいただき、糸魚川総合の研修医と指導医に混じって、当院より1年目2名が受講してきました。 医師免許を手にしてまだ2か月の私たちはかなり緊張ぎみで糸魚川まで初めての出張をしてきましたが、入江先生の気さくな人柄とこじょんのびOBのインストラクターの先生方もいらしたおかげで、とても充実した2日間を過ごすことができました! 技術も経験もまだない私たちが救外で戦っていくために持てる武器は限られていますが、2日間で35症例(!)をシミュレーションし、今まで深く考えずにながめていた6つの数字に命が吹き込まれ、新しい鮮やかな視界に目の覚めるような思いです。 研修はまだ始まったばかりですが、すでに数えきれないほどの鮮烈な、日々の記憶でいっぱいです。見るもの聞くことのすべてを糧として、一歩ずつ前へと進んでいきたいです。
2015年05月25日
五月になれば、風が爽やか。田んぼが青空を映し、早苗がきらめく季節がやってきた。 われらがこじょんのびたちの様子はどうだろう。一年生はだいぶ白衣が似合ってきた。新しい環境にも慣れ、いよいよ研修も本格的である。その一方で、いろんなことを考え始める時期でもあろう。 「自分に知識が足りないことを、日々思い知らされています。」 「時間が足りなくて。朝から夜まで毎日忙しいです。早起き苦手なもんで。」 医療現場の大変さは、もちろん想像していたはずだ。だが、現実は思ったよりもはるかに複雑で、忙しい。ややもすると自分の能力に疑問符がつき、不安になる。 二年生はそろそろ研修終了後の進路のことを考えなければならない。初志貫徹で、道を決めた彼もいれば、迷っている彼女もいる。人と自分を比べてあれこれと考える。 どれも無理のない悩みである。だが、深刻になりすぎてもいけない。悩みは成長のための痛みでもある。自分ひとりで抱えないことが大切だ。友人や、信頼できる指導医など、話しやすい相手を探して気持ちを聞いてもらうとよい。話すだけで心が軽くなる。話しているうちに、自分の心の底を冷静に見つめることができるようになる。その頃には悩みも小さくなって、ひょっとしたらよい解決法も見つかるかもしれない。今年の一年生から、当院ではメンター制度を導入したが、これもきっと君たちを助けてくれるだろう。自分は一人ぼっちではなく、みんなが君たちを気にかけていることを忘れないでいてほしい。 先日レジナビに出かけた。都会の名だたる研修病院には学生が鈴なりだが、地方の病院は静かなものである。淋しいやら悔しいやらだが、そこは我慢。それにしても、君たちはどうやって研修病院や進路を決めるのだろう。 新潟県内の初期研修医の意識調査をしたアンケートがある。この春卒業した仲間が、研修中の本音を語ってくれている。 初期研修先を決めるうえで重視したポイントとしては、多い順に次のようである。研修プログラムが充実している、指導体制が充実している、施設・設備が充実している、症例が多い、先輩の評判が良い、地元に近い。 最も多い「研修プログラムの充実」でも、それを挙げた研修医の数は全体の半分以下で、他はおしなべて三割程度にすぎない。どうも決定的な理由が見当たらない。結局大切なのはイメージで、理由はそれを自分に納得させるために後づけしたものかもしれない。 うーん、と唸ってしまう。あたかも異性を好きになるときと似たプロセスで研修先が決まるのであれば、研修病院の努力にも限界があるからである。イケメンとノン・イケメンの差はなかなか埋まらない、でしょ(?)。 その一方で、研修を始めてから研修病院に望むこととして、彼らは次のようなことを挙げている(多い順)。 指導体制の充実、処遇・待遇の充実、外部(県外・海外)研修の充実、研修プログラムの充実。何だか研修病院を選んだ理由とかぶりますよね。プログラムや指導体制に期待して研修を始めたのに、それがいわば裏切られる結果になっているとも読める。 だとすれば、研修病院の努力のし甲斐もあるというものである。ノン・イケメンの病院であっても、親身の指導やプログラムの工夫でモテる可能性があるということだから。 さらにこんなデータもある。1/3の研修医は、大学卒業時に予定していた進路を、初期研修中に変更している。そうさせるだけの体験や出会いがあったということであろう。 やはり初期研修は、さまざなな可能性を秘めた、大切な時期に違いない。君たちに多くのチャンスを示し、たくさんのポジティブスイッチをオンにする。当院はそんな研修病院を目指しているのである。ともに励みましょう!
2015年05月12日
ブースに来てくれた医学生さん! 病院見学・実習お待ちしています。
2015年04月22日
待ちわびた桜の季節も瞬く間に過ぎた。年度末からの忙しい日々が一段落したところで、前回コラムからの出来事を振り返ってみる。 3月20日、臨床研修終了式。6名の二年生たちが無事研修を修了し、巣立っていった。後輩研修医や職員に向けて、心温まるスピーチを残してくれた。全員男性なので、昨年のように涙、涙という感じではなかったが(若干例外もいたようだ)、素直な言葉に心が動く。 「そうか、そんなことを考えていたのか。」 そう思わされることが多い。プログラム責任者として心を砕いてきたつもりだが、彼らのことをよく知らなかったことに気付く。やりがいがあったこと、達成感を感じたこと、楽しかったこと。ポジティブな経験もたくさんあったとは思うが、誰にも言えずに傷つき、悩み、迷いながら日々の研修を送っていたことがわかる。もっと話を聞いてあげればよかったと思う。いささかつらい時間である。 場所を移して、臨床研修上越糸魚川コンソーシアムの全研修医が集まって祝宴を開く。一言ずつ挨拶をしてもらい、記念品を手渡す。お酒が入れば懐かしい思い出がよみがえる。旅立ちを見送るのは、正直なところ淋しい。同窓会では元気な姿を見せてくれよ、そう伝えながら握手を重ねる。今後の成長と幸運を祈るばかりである。ありがとう。 4月1日、新入職員対面式。この日はすべてが新しい。今年もピッカピカのニューこじよんのびがやってきた。基幹型はフルマッチして6名、大学病院からのたすきがけが1名、合計7人のルーキーたちである。たすきがけの二年生も1名来てくれたので、一気に大所帯になった感じがする。 白衣に着られているような初々しい姿に、思わず声をかけたくなる。後輩ができて、新二年生の表情が引き締まっている。よろしくお願いします、という戸惑いがちな彼らの言葉に、もちろんだよと心の中で応える。 とはいえ、万事はこれからである。二年の間に、彼らを医者として独り立ちさせなければならない。多くの行動目標や経験目標をクリアさせ、修了まで後押ししてゆかなければならない。プログラム責任者としては、一年で一番気持ちが引き締まるときである。 当院では、研修に先立って、彼らルーキーにフレッシュマンセミナーというオリエンテーションを行っている。今年はその期間を二週間に延長し、コメディカル研修に近い内容のものにブラッシュアップした。 研修医の指導には、指導医だけではなく、他職種が関わらなければならない。いわゆるinterprofessional educationである。グラム染色、血液交差試験、心電図記録の仕方など、重要なスキルをここで体験する。ナースと一緒に、体位交換、排泄介助、血管確保、与薬などのナーシングスキルを実践する。ナースはとりわけ研修医にとって大切な教師である。感受性豊かな時期の経験が、今後の医師のキャリアの中で必ず生きてくるに違いない。快く協力してくれた看護部のスタッフはじめ、すべての職員に、心からお礼を述べたい。 皆にお世話になったからには、プログラム責任者たる小生も、体を張らねばなるまい。毎年小生が患者役になって、ルーキたちに患者さんへのアプローチを学習してもらっている。一昨年は急性虫垂炎、昨年は肺塞栓、今年は洞不全の患者を演じた。このプロセスを通じて、手際の良い問診、バイタルサインの解釈、身体診察の手順、問題リストや初期計画の作成など、診療のためのひととおりの手順を学んでもらう。一所懸命に考える彼らの姿が頼もしい。 いずれ小生が本当に病気になったとき、頼れるのは彼らである。すくすく成長してほしいと思う。サポートは惜しまない。これからずっと、一緒に学んでゆこう。
2015年04月18日
この春に医師国家試験に合格を果たし、4月よりここ上越総合病院にて臨床研修を行わせて頂いています。一日から数えて二週間余り、新人ナースさん達と一緒に学ぶオリエンテーションも終盤でいよいよ各科での病棟研修が始まって参りました。 初日は文字通り右も左もわからず(地域の中核病院の一翼を担っているため思わず迷子になる位大きくて沢山の施設があるんです!)緊張で肩がこわばって私達ですが、この頃は少しずつ新しい生活に慣れ、じょんのび先生にも「だんだん柔らかい表情になってきたね」と仰って頂けるまでになりました! 上越総合病院の優しく頼れる先生方や先輩研修医の先生、コメディカルの方、職員の方の温かな御支援のお蔭で充実した研修生活のスタートとなり、本当に嬉しく思います。 『衣食足りて礼節を知る』という言葉がありますが、こじょんのび風に言うと 『じょんのび足りて学びを知る』という感じでしょうか。 のびのびした研修をさせて頂く喜びを噛みしめると共に、患者さんへ医師としての責任を果たそうという自覚が芽生え身の引き締まる思いです。 もう一つ、じょんのび先生も折に触れて私達にお話しくださり、私も個人的に好きな言葉があります。 『患者さんから多くを学びなさい患者さんが君達の一番の先生なのだから』 大昔の偉大な名医ハリソン先生から脈々と受け継がれているこの言葉を、これからも忘れないようにしたいです。 上越地域の先生方、どうぞよろしくお願い致します!! 新米こじょんのび7名、短い期間ですが精一杯頑張ります!